比良・口ノ深谷を歩いて

                                           宮永 恭子                                 

 ワクワクの沢登り3回目。今日は飯盒炊さん付きで、幼い頃の遠足気分!

比良山系、1000m前後の切り立った感じの山々が迫り、森林の匂いがする。坊村

から少し山道を登った後、いよいよ沢へ。下流は広葉樹が多く、緑の木々の間の黒

っぽい岩の上を、きれいな水が流れている。光が射して、緑は鮮やかに、水の流れ

は清らかに輝いている。清流は白い滝となって流れ落ち、澄んだ水は底の岩をうつ

し出す。そんな心を洗われる水と緑の風景が、目の前に次々と飛び込んできて、自

然の中に溶け込んでいくのを実感。「うわーっ、沢ってやっぱりきれいで、気持ちい

いっ!」

少し危険な所もあるようで、前後をしっかりガードしていただき、足場や歩き方、

歩幅のアドバイスを受けながら慎重に足を運ぶが、かなり高い岩場を左上方向に

登らなければならない難所に遭遇。「これは・・・、落ちると痛いなんてものじゃな

いなぁ。大ケガかも。う〜ん、どうしよう?」と下を見ながら固まっていると、お助

けのロープ。あぁ、よかった! お手間がかかってすみません。でも、青アザができ

ても、おしりまで水につかって泥んこになっても、なぜか楽しい沢登り。登らずに通

った滝が気になり、「私がいなければあの滝登れる?」「あれは?」と訊いてみるが

、そうそう登れる滝ばかりではないらしい。どこから登ろう?なんて滝を見つめるよ

うになってしまった自分が怖い。ひんやり心地良い水しぶきをあびながら、小さな滝

をいくつか登り、やがて上流についた。

 昼食は飯盒でゆでる素麺。木切れを集めて下に空気が通るように組み、上には燃

えやすい小さな枝や枯葉などを重ねて火をつける。よく乾燥していたせいか、すぐに

燃えだした。飯盒で素麺をゆで、沢の水で冷やす。暑い日でも渓流の水はとても冷

たく、素麺はよく冷えておいしかった。下山道は暑かったが、河原の水浴びで涼を得

る。足をつけると、冷たくさっぱりいい気持ち。楽しい企画とご指導、本当にありが

とうございました。

 自然はとても大きな力を持ち、優しく迎えてくれる時もあれば険しい表情を見せる

時もあります。こんなにきれいな渓流も、冬には積雪のため道を誤って、遭難された

方が。ケルンに手をあわせ、心からのご冥福と、道行く人を見守って下さるようお願

いしました。悲しいことにならないように、安全に歩けるように、自然を知り、山を

知りたい、そして、心が動く風景にたくさん出会いたいと思いました。

リーダーのコメント

帰りのバスの時間(坊村15:46)の制約があるので、メンバーの力量を考えルートを何処

にしょうかと迷った。今日はソーメン流しが主たる目的。人が少なく水が利用できる事

、焚火ができる事、下山が容易である事を考え口ノ深谷の下流部の沢登りとした。ソーメ

ン湯がきに熱い熱いと言いながら出来たソーメンを冷やし。錦糸玉子、薬味のネギを入れ

たソーメンを食べ、冷やしたグレープフルーツ、ブドウのデザート付の昼食は美味しかっ

た。この近くの左岸台地にある西島氏のケルンに線香を供え各自ご冥福をお祈りして下山

した。(西島氏は神戸労山元会員で1999年2月雪の口ノ深谷で遭難。1999年7月

に遭難発見現場に神戸労山有志でケルンを積み慰霊した。)坊村の近くの河原で水浴びを

して汗を流しバス乗り帰神した。

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