経ケ岳

北口記

2月8日急登のラッセルを繰り返し保月山頂上に到着した。まだ時刻は正午前。経が岳の登頂を確信した。ここから両側に鋭く切れ落ちたナイフエッジが数百m続く。南に張り出した雪庇を避け北側の急峻な斜面をトラバース気味に、雪崩れそうな尾根を慎重に進んだ。突如目の前から尾根が消えた。前方は20-30mのハングした絶壁になっている。尾根の南は雪庇が張り出しその下方の急峻な斜面に新雪が積もっている。今にも雪崩れそうだ。、北は谷底に切れ落ちている。ダブルアックスで下降できないことも無いようだが雪崩の危険を伴う。ロープもハーネスも用意していない。退却しか選択肢は無かった。

この敗退はまさにリーダー責任であった。山を甘く見すぎた。ロープもハーネスも携帯していなかった。初めて訪れる山には最小限必要な登攀用具は携帯すべきであった。

 この思いが胸の中を去来した。この無念さ、情けなさを払拭するには、経が岳の頂上に立つ以外に無い。再度経が岳に行くことにした。

 3月21日、雪はしまっている。ラッセルすることもなく保月山に到着した。前回退去した岩峰の南側の斜面の雪がしまっている。トラバース可能と判断した。念のためロープで確保し岩峰をまいた。更に50度位の雪壁を40mロープいっぱい登り詰めると容易な尾根に出た。

 2時に経が岳の頂上に立つ。すばらしい360度の展望である。頂上からの展望をこれほど楽しめたのは、数年ぶりの事である。このような山を探し登り続けたいと思った。

山行記録

                                         記録:高松

20033/213/23 (3/20夜発)

入山者:北口,坊垣,杉田,大石,高松

3/20(木)

  2145 車にて神戸発(神戸労山事務所)

        北陸自動車道福井I、Cから国道158号で大野市へ

3/21(金)晴れ

  300 福井県立奥越高原青少年自然の家着

  330 テント設営、仮眠

  500 起床、朝食、装備準備

  630 駐車場出発、六呂師高原スキ−場コ−スを保月山へ。

  740 広域基幹林道と交差。休憩

  7:50 出発。

  8:55 保月山(1273m) アイゼンつける。眼下に大野盆地が一望、杓子岳がせまる。

  918 出発。

  950 前方の尾根の先端が岩峰にて切れ落ちており、右側斜面をトラバ−スすることになる。ハ−ネス着ける。前回の山行ではこの地点で引き返したところである。

      北口リ−ダが1ピッチリ−ド、雪庇の下部をトラバ−ス、岩峰の裏側を直登、   ザイルフイックス。雪質の悪い尾根から、さらに1ピッチ、ブッシュのついた急面

      をリ−ドする。全員が通過するのに1時間近くかかる。

  1040 杓子岳、休憩

  1102 出発、快晴、気温上昇

  1130 中岳手前の雪原、展望が開け、経ケ岳の火口原が雄大である。

       アイゼン、ハ−ネスはずす。

  1217 出発。

  1303 中岳をトラバ−ス、経ケ岳取りつき地点へ。アイゼンつける。

  1340 急な斜面をジグザグに、さらにクラストした尾根を直登して 経ケ岳頂上(南岳)

       到着。360度、奥美濃の雪山の展望に感動、とくに白山の雪の白さが際立つ。

       感激のスナップ取り。

   1410 頂上(南岳)を後にする。

   1440 北岳手前のピ−クを検討の結果幕営地とする。

        前後に経ケ岳と白山を望める。

   1500  テント設営、宴会、雪焼けの顔、仮眠1.5時間とは思われない方等々。

   1700 夕食、ミ−テング。

   2000  就寝  

?

      

 3/22(土)曇り

   600 起床

   700 朝食、ミ−テング(今日予定していた赤兎山方面のピストン山行は雪庇の状態

        が悪いため、中止,下山すると:リ−ダ−決断あり。)

   845 テント撤収、出発。アイゼン着。

   945 h=1390地点。アイゼンはずす。

   935 出発。

   1010 h=1360mピ−ク

   1030 h=1360m地点出発。

   1150 スキ−ジャム勝山ロッジ着

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