加賀の白山の山行記録/感想 庄司
山行要旨:夏山講習修了山行。テント2泊。晴れたり降ったりやんだり。
【一日目】 8月29日(金) 曇り
08:00 阪神今津駅で待ち合わせ。ハイテク装備満載の江本車で出発する。江本さんには、往復ともに(猛スピードで)運転して頂き、たいへんお疲れの事であったと思います。本当にありがとうございました。本来は、金曜日の夜に出発するけど、運転の疲れを残さない様に、また豪華な夕食を考えて、この時間帯にでかける事になった。この選択は大当たりでした。
夏山だから、冬山の時のような大荷物ではないのが救い。本当に冬山装備は重たかった。今回も、テント2泊の山行なので、ソコソコ重たいザックではあった。
体験上、慣れたら、もっと荷物は減らせると判っているのだが、荷物って、なかなか減らせないものだ。僕の場合、重たい植物図鑑を数冊持参したが、帰宅するまで読まなかった!!今度からは、本は絶対に持って行くまいと思ったものだ。
途中、勝山市内で買い出し。新人の西さんの楽しい観察によると、『夕食(すきやき!)当番の黒田さんは、中心になって食材を購入してくれると思っていたら、もう行動食の事で頭がいっぱいのようで、おにぎりやパンコーナーに行ってしまうし、リーダーの高松さんは、「みんなのお金だから…(爆笑)」と、食材を大量に買い込まれる』のだった。
勝山市内で、昼食を済ませた。江本さんの指摘があったので書きますが、勝山市内で食べた越前ソバはおいしかった(但し、15分以上、待たされます)。これはグルメ登山派のため特記します。僕の場合、「♪越前越後の蕎麦よりも、貴女(白山)のソバへ行きたいな♪」派だったので、自分が今、白山の近くに居るという事だけで、もう嬉しかった。
余裕で登山口の白山一ノ瀬へ着く。時間があるから、一ノ瀬から別当出合まで自動車で偵察した。交通規制のため、登山時は、一ノ瀬のキャンプ駐車場へ止める事になる。
僕の場合、白山は、今回で3回目の登山になる。この前来たのが2年前の夏で、だから見慣れた風景だった。湿度は高いけど、清澄な空気を通して、麓からブナ樹林が盛り上がるように生えているのが見える。3度目の再会が嬉しく、大きなブナの木を指して、「これはブナの木の巨人だなぁ」。小さなブナの木を指して「これはブナの木の阪神(半身)…」と、西さんに愚かな冗談を言ったりした。
白山は、高松さんが2回目、黒田/江本/西さんが初めてだそうだ。
15:00 テント設営。一ノ瀬のキャンプサイトは、下が柔らかい草地だ。丸太材のテーブルや椅子もセットされており、川の側というのに蚊もおらず、宴会キャンプには絶好な環境だった。
夕食には、皆様の腕前で、たいへん美味しいスキヤキを頂けた。白山のスキヤキは一生の思い出になると思います。高松さん直伝で、アルファ米で美味しい御飯を炊くコツも教わった。もし僕が食事当番だったら、ひどいものしか作れず、一生の悪夢になっていた筈だ。
西さんによると、江本さんと黒田さんは、北海道(トムラウシ縦走?)で、うまくアルファ米が炊けなかったそうで、かなり真剣に「美味しい御飯を炊くコツ」を教わり、次回は成功させるぞ!と意気込んでおられたそうだ。(庄司の想像だが、彼らは悪夢を体験されたのだろうか?)
18:00 夕食の片づけ後、テント内へ引っ込む。就寝準備となり、19:00には寝てしまう。テントに4人で寝るが、ホント蒸し暑い。
寝苦しいのと、星空を見たいのと、深夜、外へ抜け出したが、一面の雨雲で星は見えず、ヘッドランプの光芒が夜霧を通し、ブナの樹影をむなしく照らすのみ。
あんまり暑かったので、「これは冬用テントでしょうか?」と撤収時、高松さんに伺ったが、「夏用だ」そうで、「冬用テントは背が低いよ」…とのこと。人間1人が40ワット電球相当の熱量を持つと聞いたから、4人で160ワット。夏山の場合、「テント内は暑い」。僕以外は、寝袋を使わずシュラフカバーで就寝された様だ。
【二日目】 8月30日(土) 晴れのち雨
03:00 起床。テント内で寝袋を畳んだりして、慌ただしく起きる支度をする。皆さん達、30分後には、真っ暗闇の中、食事の支度を開始された。煮込みウドンを美味しく頂く。
今回の山行では、食事に関しては、最後まで「耐久」とか「耐乏」とかのイメエヂは全くなかった。食事担当の心遣いが有り難かった。たらふく食べられるのは有り難いことだ。
05:00 テント撤収。
05:05 別当出合行きのシャトルバスに乗り込む。登山客をピストン輸送している。登山シーズンもそろそろ終わりだろうが、そこそこの人出がある。
>>05:15 別当出合着。 >>05:30 別当出合発。 >>06:15 中飯場着。
>>06:45 別当覗着。 >>07:15 甚ノ助小屋着。>>08:20 南竜分岐着。
>>09:15 白山室堂着。 >>10:00 白山奥宮発。 >>10:40 山頂(御前峰)着。
>>11:00 御前峰発。 >>11:50 大汝峰着。
団体登山客の多さと、万里の長城のような列の長さに驚く。自分たちが登るのに精一杯で、後続者を、なかなか追い抜かせてくれない。ペースもマッタリとゆっくり。そんな訳で、休憩時間も充分で、冬山研修(北八ヶ岳)の時より楽だった。団体登山客に邪魔されたくなければ、バスから降りた時点で、さっさと登るしかない様だ。
甚ノ助小屋までは退屈なダラダラ登りだが、小屋を越すと、高度感を楽しめる山道に入る。「高山に来たなあ」と思う。白山名物のお花畑は、シーズンオフだが、トラノオやハクサンコザクラが咲いていた。
白山室堂の大きなビジターセンターには驚く。山小屋のレベルではなく、1,000人は宿泊できる旅館の様な印象を受けた。全国にある白山神社の総本社だから、参拝客だけでも相当な宿泊があるのでしょう。信徒なのだろうか、山頂では、鈴の付いた数珠を鳴らして、一心不乱に祈祷する人が多かった。
御前峰からは、白山お池巡りのハイライト。それまでの整備された参拝道がなくなり、荒涼たる荒れ地に、大岩だらけの白く細い山道がハイマツの中を走る。重たいザックを置いて、登山路とはまた異なる貴重な風景を散策した時が一番楽しかった。これ抜きでは、白山に登る値打ちがない様に思える。しかし、多くの参拝客は、御前峰で参拝後、下山するらしく、この風景は、我々だけが独り占めする事に成った。
雲の多い日だったが、雲海遠くに乗鞍や木曽御岳の山頂が見えた。
僕に登山の手ほどきをしてくれた人と、初めて白山に出かけたのが4年前で、その時は、悪天候に行く手を阻まれて、山頂を見ることかなわずに下山したのだ。その人が、見せたかったに違いない山頂の別天地のような景色を、3回目の登山で、ようやく見ることができて嬉しかった。
なにしろ、2回目の白山山行も、激しい雷雨の為に中途で引き返しているので、僕は、よくよく白山比売(白山の神様)に嫌われているのでしょう。この時は、往復とも自分で自動車を運転して大変つらかった。そして2回目の白山山行に失敗した翌週、やるせない思いの単独ハイクで、六甲山を芦屋から土樋割峠/蛇谷を抜け、たまたま「石の宝殿」へ出てみたら、此処が白山神社だったので愕然とした。白山姫に招待されたのであろうか。
14:40 南竜ガ馬場山荘着。>>15:00 テント設営。>>19:00 就寝。
山頂から、白山室堂へ降りる頃には、天気が崩れだした。室堂泊まりの登山客が続々と上がってくる中を、下りの風景を楽しみながら下山する。室堂から見下ろす、南竜山荘/白山別山の風景は、写真で見るヨーロッパアルプスの牧場みたいで美しかった。
南竜山荘近辺で、小雨が断続的にパラパラ降ってくるが、気にならず、テントを設営する。
南竜馬場のテントサイトは異常にヤブ蚊が多い。この辺は湿地帯である。猛烈な蚊柱が、服の上から強引に刺す。全員大いに困り、「これを記録しなさい!」と喧しいので記す。8月初旬の僕の経験では、あり得なかったので、盛夏以降は蚊取線香や蚊よけクリームなどの蚊対策が必要と思われるが、果たして防ぎきれるだろうか?。
夕食は、控えめにレトルトのドンブリものだった。パラつく雨の中、高松さんが、明石から持参下さった貴重品のエビスビールが、美味しかった。高松さん、有り難うございました。
【二日目】 8月31日(日) 雨のち曇
>> 04:00 起床。 >>06:00 朝食。 >>07:00 出発。
>>07:35 甚ノ助小屋着。 >>08:35 中飯場着。
>>09:00 別当出合着。 >>10:15 白山温泉天竺の湯着。
夕べまで、雨は降ったりやんだりだったが、夜半から風が強くなり、はては嵐になる。遠く白山山頂の方から、稲妻がテントを通して光る。近くを通る人の懐中電灯の灯りが、テントを通して入ってくる。
叩きつけるような雨が降ってくる。就寝が早かった事もあり、深夜から目が覚めて寝つけなかった。前日まで、あれほど暑かった寝袋も、これだけ雨風が吹きつのると、そうでもなくなった。そして、着実に濡れが全身に回ってきたのには参った。
暴れるテントの中で、僕は風上側に寝ていたため、一番多く被害を受けたと思う。朝には僕だけ、しっかり濡れていた筈です。起床時、水を含んだ寝袋を畳むのに雑巾を絞るみたいで、閉口しました。シュラフカバーは持ってましたが、暑いだろうと、油断して使わなかったのだ。皆さんのように、しっかり厚着して、シュラフカバーだけで寝こめば良かったな。全身湿っぽい感じでしたが、厚着して暖かくしていましたので、不愉快ではありませんでした。ゴミ袋でカバーしたリュックをテントの外に放置してたのもまずかった。カラダで覚えた事は絶対に忘れないから、次からは、上手に対応したいと思いました。
雨天の起床では、撤収に時間がかかりました。もう少しテキパキ行動したかったのですが、今となっては後の祭。幸い、南竜山荘のテントサイトには、自炊用の食堂が付属しており、ここに逃げ込んで朝食を食べる事ができました。朝食は、インスタントうどんを煮込んだものと、メザシでした。
雨は断続的に激しくなったり止んだりしましたが、幸い出発する頃には、霧雨になりました。この様な天気では、再度室堂へ登ってから観光新道を抜けて下山する予定が無理となった。登山時に通った砂防新道をピストンして下山する事になった。無事、別当出合へ降りれた時のビールは美味しかったですね。
山の帰りの温泉は、良い気分転換になります。「ようやくシャバへ帰ったナ…」。白山温泉は、石鹸みたいにスベスベする感じの、気持ちの良いお湯だった。
白山は、湧き水も豊富で、登山口/中飯場/甚ノ助小屋/白山室堂、と水場に困らなかった。トイレも併設されており、整備された登山路(参道)もあり、安心して登山できる山だった。宴会もできるし、夏山講習修了山行に最適な印象を受けた。
「冬山に登ってみたい」というのが、そもそもの神戸労山への入会動機だったが、今回の夏山を体験し、ちょっと微妙に気持ちが揺らいでいます。「宴会がスキになったの?(笑)」。という質問には、「違う違う(笑)」。連れていって貰うだけの登山ではなく、ベテランの皆様のように悠々と登山を楽しみながら、夏山を縦走できる様になりたい…と。リーダーや同行者の皆様、3日間も、ありがとうございました。