雪をかぶった峰々は最高に美しい

赤岳・阿弥陀岳・硫黄岳

日程:2006年1月6日〜9日

パーティ:宮永・西

記=西

天候に大きく左右される冬山。不安もあったが、やっぱり雪山に行きたい!と

年末に計画をたて、赤岳・阿弥陀岳・硫黄岳に行く事に。

メインの8日は天候に恵まれ赤岳・阿弥陀岳に登頂。

とても神々しい冬の山々に出会う事ができた。

9日は硫黄岳へ。八ヶ岳の強風を十分耐寒&体感した。

やっぱり冬山は厳しい、そしてとても美しい…とあらためて思った。

●1月7日 晴・雪

 茅野に向かう電車から、朝焼けに紅く染まった富士が見えた。

きれいだった。

バス停の美濃戸口から1時間ほど歩いた赤岳山荘でうどんを食べ、南沢から行者小屋へ向かう。トレースを頼りに歩いたつもりが、途中でトレースがなくなった。(おかしいぞ!)と地図で確認しながら進む。なんかちょっと危険だ。こんなポピュラーな道にトレーズがないなんて…。それでも沢沿いに地図を見ながら進むと、とてもしっかりしたトレースに出会った。(どこで間違えたんだ?…帰りに分ったことだが、実は最初の入り口を間違えていた)それからは、トレースに従い行者小屋に向かう。

途中、雪が降り始め、行っても行っても沢は続き、ザックが合っていないのか肩が痛くなり、行者小屋に着いたのは3時前だった。

行者小屋は暖かかった。その日の宿泊者は6名ほどで、自炊は私たちだけ。

水も無料で分けてもらえ、暖かいストーブの傍で自炊できた。鶏鍋はとてもおいしく身体が温まった。

部屋には炬燵があり、みんなで明日のルートの情報交換など、とってもアットホームな夜を過ごした。(合っていなかったザックの調整をする。)

「赤岳展望荘」に宿泊するという方がいて、私たちも「頂上からの風景を眺めていたい!」という衝動にかなり駆られる。ルートや時間など地図を見ながらいろいろ考えたが、お天気も分らないし、結局空身で赤岳・阿弥陀岳に登るという当初の予定で行くことにする。

7時の天気予報では明日は晴れるらしい。でも今、雪はしんしんと降っている。

 

●1月8日 雪のち晴

7時に行者小屋を出発。

雪がチラチラと降っている。

ここでもまた地蔵尾根への入り口に戸惑う。

私たちが一番乗りで、トレースは昨日からの新雪で隠れてしまっている。

でも今度は間違わず地蔵尾根を登り始めることができた。

ピッケルで確認しながら、新雪の下のトレースを確認しながら進む。

鎖やロープが所々に見える。風はあまり強くないが、冷たい。

黙々と地蔵尾根を登っていった。

空が明るくなり、突然阿弥陀岳がその姿を見せた。

地蔵尾根をもう少しで登りきるところだった。

赤岳、横岳も次々と姿を見せる。

思わずカメラを出し、シャッターを押す。

先に歩いていたMさんが、稜線から「早くここまでおいで!すごい眺めだ!」と叫ぶ。

稜線に出ると流石に風はすごかった。手袋を外すと凍ってしまいそうだった。

赤岳、中岳・阿弥陀岳がきれいだ。赤岳頂上小屋と赤岳頂上が陽の光を浴び輝いている。

雪をかぶった峰々は神々しく、人を寄せ付けない貴ぐらいの高さを感じさせる。思わず「登らせていただきます」という気持ちになる。

稜線を赤岳頂上へと向かう。赤岳頂上からは、中岳・阿弥陀岳がきれいに見えた。

冷たい風の中、太陽の温かさに励まされながらパノラマを十分満喫した。阿弥陀岳頂上に人の影が見えた。トレースもあるようだ。頂上にとどまっているのは私たちくらいで文三郎尾根から登ってきたらしい2、3人は頂上を素通りしていった。(こんな風の中だからなぁ・・)

阿弥陀岳へ出発!

…と歩き始めたがまたトレースがなくなっている。????文三郎尾根から登って来た人のトレースがあるはずなのに…・。頂上で迷うか? でも更に進もうとしてMさんに「かなり危険な所にいる」と指摘され、戻ることに。地図を確認しルート変更するとまたまたしっかりしたトレースや鎖があった。

中岳に向かう途中、振り返ると鮮やかな空の青に白く凍った赤岳がとてもきれいだった。

赤岳頂上で誤って下ろうとしていた岩壁も確認できた。(ちょっと危なかった??かも)

文三郎尾根―中岳間はトレースがなかった。

雪に埋もれながらしばらく歩き、阿弥陀岳へ。しっかりトレースはあった。

「登れても下りられるとは限らない。下りのことも考えながら登るように」とのアドバイスを思い出しながらゆっくり登る。かなり急だが、しっかりトレースもあり、鎖もある。大丈夫そうだ。

阿弥陀岳頂上は2人だけだった。天気はぐんぐんよくなり風もほとんどない。赤岳よりもきれいな青空と360度のパノラマを十分楽しめた。赤岳がまた違った表情を現した。権現岳や編笠山もきれいに見えた。富士山もかなり近くに見える。

そして阿弥陀岳南稜をKさんたちは今頃どこら辺を登っているだろうか?と言いながら眺めた。

 下りは思ったより楽だった。中岳沢を下る事に不安を感じたら文三郎尾根を下る事にしていたが、ラッキーなことにしっかりしたトレースがあり雪崩れの心配もなさそうだ。

駈ける様に沢を下った。そして下りきった辺りに赤岳のビューポイントがあった。赤岳がどっしりとその全体像を現していた。

行者小屋でザックを回収し、赤岳鉱泉小屋へ向かう。

途中、中山展望台から赤岳を眺める。夕日に染まる峰を見ることが出来るだろうか?としばらく粘ったが雲が出てきたので小屋に向かうことに。

赤岳鉱泉小屋から淡いピンク色に染まった赤岳を眺めた。(もう少し粘れば良かった)

夜はきれいな星空を見ることができた。星がとても大きく見えた。

星空を見ながら、明日もお天気!を確信したが…・。

●1月9日 曇り・雪・強風

 雪がちらつき、かなり風がありそうだ。

 アイスクライミングをするグループは計画を延期したりしている。

 取りあえず私たちは硫黄岳へと向かった。

 樹林帯の中はまだ良かったが,樹林帯を出るとかなりの強風だ。赤岩の頭辺りからはものすごい風にほっぺがちぎれそうになった。冷たいではなく、痛いという感じ。硫黄岳頂上は何も見えなかった。それでも一瞬の風景を期待して20分待った。いくつかのグループと出会ったが皆取りあえず1枚写真をとり行きすぎていった。(当たり前だよなぁ…こんな中に居たら本当に凍ってしまう)指先も足の先もほっぺもちぎれそうなくらい痛かった。

残念ながら硫黄岳からの風景は見ることが出来なかった。

20分たち9時になった。逃げるように下山した。ほっぺはどうなっているんだろう?と思った。樹林帯に入りほっとした。

帰りは北沢を下った。赤岳山荘でアイゼンを外したが美濃戸口に着くまで何度か滑りかけた。もう少し着けていた方が良かったように思う。

途中温泉に入り、アイスを食べ帰った。

今回の山行では共に行動する中でMさんにいろいろ教えてもらうことが多く、随分と助けられた。また、お任せではなく自分達で計画し山行することで学ぶことが多くあった様に思う。

また計画段階でルートの確定に辺り、先輩方にいろいろアドバイスをいただいた。いろんな方に支えられ楽しい山行となった。

 

<コースタイム>

1月7日 美濃戸口9:30→赤岳山荘10:30−(うどん)―赤岳山荘発11:00→

行者小屋14:50

1月8日 行者小屋7:10→赤岳頂上9:30−10:10→中岳のコル13:00

→阿弥陀岳着13:40−阿弥陀岳発14:00→中岳のコル14:30

→行者小屋着15:00→赤岳鉱泉小屋着16:45

1月9日 赤岳鉱泉小屋6:35→硫黄岳頂上着8:40−(休憩)9:00

→赤岳鉱泉小屋9:50 (休憩)10:25→赤岳山荘11:40→

美濃戸口12:45着

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