【 ♪仰ぎて見上げる崩山(ほうざん)頂♪ 】

 庄司 記

最初に見たのは、夏山講習で登った加賀の白山の山頂からです。東の方に、山頂が3個に白く、ザクロのように割れた山があり、その異様な山容とネーミングが、数年経った今でも強く印象に残っていました。

 三方崩山(さんぽうくずれやま)の山頂は遠かった。

がんばってラッセルしたのですが、1日の成果が、直線距離2kmとして示されたにすぎなかった。翌日早朝からの3時間のラッセルでも、100mの高度しか稼げず、降りしきる雪の中、下山する事になりました。

 雪山山行は大変きついのですが、なんとも言えない緊張感が、「登っている最中の充実感」、「テントに転がり込んだ時の幸福感」、「終わった後の虚脱感」となって、「生きている」実感を全身にみなぎらせるのでしょう。僕はこの雰囲気が好きになりました。

不満足な点を書いておきます。初心者講習の皆さんの参考になれば…。

(1)僕の場合、手袋の扱いがズサン。もっと慎重に扱うべき。手袋を外す場合は、懐に仕舞うなどして暖めておく。また、濡らしたり無くさないようにする。

(2)ワカンのバックルの具合が悪く、次から次へと緩んで外れてしまう。山行中、ワカンを取り外して調整するのは凍傷の危険もありますが、なによりもパーティのスピードを遅らせ、迷惑をかけます。僕は4〜5回もワカンを外しましたが、申し訳なくて気が狂いそうでした。道具の不具合は、事前の調整次第で防げるのは本当です…。下山後、しつように確認したら、僕のワカンのバックルのほとんどが、裏返状態でセットされていた。出荷時のメーカーのチェックが甘いのか?

 (3)『冬山は、体力/スピード/技術だ!』と、何遍も注意されていました。今回も、この言葉を強く噛みしめる事になりました。「技術」には、生活や協調性もありますが、「戦略」も含みます。たとえば、撤収の判断(計算)をおこなうのも…。

 体力のある限り、雪山登山を続けたいと思わずにいられなかった山行でした。ご配慮頂いた先達の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

 ##この次は、「♪上から見おろす崩山頂♪」にしたいですね。

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名児耶 記


今回はじめて冬の白山山系の山行に参加させていただきました。 雪が多かったため十分ラッセル訓練できたと思います。 他パーティーが入っておらず静かな山行でした。残念ながら山頂まではたどりつけませんでしたがいろいろな事を学ぶことができました。  

今回の学習点

1) ラッセル時は、なるべく足をまわすように前に出し、太股で雪を掻かないようにして体力消耗を防ぐ。

2) 腕時計内臓の高度計は一日のうちに100−200mほどずれてしまった。 気圧の変化が大きかったようだ。 北口さんのGPSでより正確な高度と位置を把握する事ができたので、お金がたまったら次はGPS購入かなと思う。

3) 冬しか通れない尾根沿いにところどころ営林所の立て札(境界線標識)があったが、かならずしも登山ルート上にあるもではないので目印とするのは不適切。


4) 尾根上で雪庇を2回ほど崩してしまった。 先頭を歩くときは樹林帯の中といえども細心の注意でルートを選ばなければならない。

5) 常に帰りに必要な体力と時間を計算して、撤退する時は速やかに。 今回は下山時もラッセルが必要で予想していたよりも時間がかかった。

6) 豪雪地帯の初冬で根雪が固まっていない時はラッセルがきつい。 今年は暖冬だった為、12月にあまり雪が降っておらず年明けでもまだ根雪がしっかりと形成されていなかったようだ。

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坊垣 記

人が入っていない、つまりトレースのない雪山を地図とコンパスを頼りにルートを探しつつ、ラッセルしながら山頂を目指す。ここ数年はこんな冬山に入ることが多くなり、その分敗退も重ねることになった。今回もラッセルまた、ラッセル・・・。真っ白な雪の上をラッセルしながら進むのは嫌いではない。でも今回は今まで体験したことのない、首?頭?までのラッセル、さすがに参った。雪の降り始めが遅く、ほとんど全層新雪状態でのラッセルだったとは言え、やはり白山山系の雪はすごいものがある。せめて1,600mを越えて三方崩れた山の姿や細い稜線がどうなっているのか、見てみたいと思ったが、1,500mであっさり跳ね返されてしまった。完敗である。リーダーは雪を白い魔物と言っていた。でもこんな魔物に魅せられて、嫌われてもまた会いに行きたくなるのだから仕方ない。いつか真っ白な山頂に立つことがあるだろうか。