燕岳 山行報告

     宮永 記

日 程  2005年5月4日(水)〜5月6日(金)

メンバー L:宮永、千賀

 

行動記録 

5/4

14:00 西宮発 →長野自動車道 豊科下車 → R147(途中で夕食)→R25 →R327

22:10 中房温泉 穂高町営第1駐車場着

5/5

5:05 駐車場発(標高1394m)

5:15 燕岳登山口(約1440m)登山口は残雪なし 〜第3ベンチ付近より雪道となる

8:10 合戦小屋 休憩15分間 〜合戦の頭のあたりから視界が開けて眺望が良くなる

9:35 燕山荘(2704m) 外で食事をしながらくつろぐ

10:55 燕山荘発 〜燕岳(2762.9m)〜北燕岳までを、のんびりと往復

12:40 燕山荘着

13:15 燕山荘発 〜大天井岳方面 蛙岩の少し先までを、のんびりと往復

15:40 燕山荘着(自炊、小屋泊)

5/6

5:00 燕山荘発

7:25 駐車場着

7:55 駐車場発 下山時刻が早すぎて、付近に開いている温泉がない。 〜(途中で昼食)〜

16:45 西宮着

 

最初は白山に行く計画をしていたが、白山を知るメンバーが参加できなくなったため、雪山経験の浅い私たちは、無雪期に登山経験があってルートの明瞭な燕岳に計画を変更する。

 5月4日(水) 晴れ

 信州へと向かう車の窓からは、芽吹いたばかりの淡い緑の新緑がきれいだ。渋滞しそうな時間を避けて出発したせいか、連休なのにスムーズに中房温泉の登山口駐車場に到着する。

静かな山中、温泉のにおい(硫黄臭)と、中房川の渓流を流れる水の音がする。見上げると満天の星空!いつもは見えないたくさんの小さな星までが、くっきりと見えている。しばらく星空を楽しんだ後、明日の晴天を期待しつつ、眠りにつく。

 5月5日(木) 晴れ

 明るくなるのを待って登山を開始する。登山口付近は、雪は全く無い。第1ベンチ、第2ベンチを過ぎ、所々に残雪が現れ始める。第3ベンチの手前より雪道となり、アイゼンをつける。だんだん登りが急になるが、早朝なので雪がしまっていて歩きやすい。樹林帯の中は、たくさんの赤旗(燕山荘さんが設置)が立っている。これだけあっても、吹雪くと先の旗が見えなくなるのだから怖い。登るにつれて眺望が良くなり、左側に、大天井岳へと続く残雪の尾根が大きく見え始めた。雪をかぶったきれいな稜線を見ていると、縦走がしたくなってくる。

雪がしまっているので、ゆっくりと歩いていても夏道コースタイムと変わらない。合戦小屋で小休止をして、少し登ると、左前方に、天を突くような槍ヶ岳の穂先が見え始めた。まわりの木々は針葉樹からダケカンバに変わり、やがて樹林帯を抜けて視界が開ける。風はほとんどなし。槍ヶ岳方面の残雪の山々がきれいだ。正面には燕山荘、右手には燕岳がすぐ近くに見えている。雪のあるこの時期は、尾根をそのまま小屋の裏まで直登する。小屋直下の急斜面は、雪が落ちて道が見えている。あと一息、元気な足取りで登りきる。

残雪をいだいて連なる山並みが、目の前に広がる。穂高〜槍ヶ岳〜裏銀座の山々〜立山の向こうまで、きれいに見えている。燕山荘のベンチで雄大な眺めを楽しみながら、ゆっくりと食事をし、小屋に荷物を置いて燕岳へと向かう。稜線の東側斜面は雪がたくさん残っているが、西側斜面の雪は少なく、ハイマツの深い緑に残雪の白が映えている。登山道の雪は無い。花崗岩の岩肌が聳え立った燕岳独特の景観を楽しみながら、燕岳を越えて北燕岳山頂まで行くと、北側には立山〜後立山の山々が連なって見えた。眺望をゆっくりと楽しんで小屋まで戻る。

次は大天井岳方面へと向かう。こちらも稜線の東側斜面は残雪が多いが、登山道には、ほとんど雪は無い。「こんな雪の状態なら常念岳の方まで縦走出来たかも。ちょっと惜しかったかな」と思いながらも、今回は、適当なところまで行って引き返すという計画書通り、のんびりと歩く。少しずつ槍ヶ岳が近づいてくる。

しばらく緩やかな稜線を行くと、巨大な岩峰の蛙岩が現れる。夏場は岩峰の東側を巻く道があるのだが、今はまだ雪に埋まっているので、冬季ルートの岩の間のトンネル状の狭い穴を通る。氷が残っていて、アイゼンをつけてないので滑りそう。足場を探しながら慎重に穴を抜け、少し行ったあたりで、ゆっくりと休憩して眺望を楽しみ、このあたりでひき返すことにする。

 連休最後の日とあってか登山者は少ない。小屋の外のベンチで夕食を作り、日の沈むまで、残雪の山々や変わりゆく空の色をのんびりと眺めて過ごした。大自然に包まれて、ゆるやかな時が流れていった。

 

5月6日(金) 曇りのち雨

 ご来光は残念ながら拝めず、曇ってはいるが、視界は悪くない。槍ヶ岳もはっきりと見えている。早くから雨が降り出す予報のため、早朝より下山を開始する。雪はしまって歩きやすい。すべらないよう注意しながらも、軽快な足取りで歩き、第3ベンチでアイゼンをはずす。このあたりは、1日でだいぶ雪が解けたような気がする。雨にあう前に駐車場まで下山でき、無事に山行を終えた。

 

思っていたよりも雪が少なく、雪山を期待していた私たちにとっては少々早い春の訪れであったが、冬の眠りから目覚めはじめた残雪の山々もまた美しく、とてもやさしく迎えてくれた。四季折々に移り変わる山々の装い、刻一刻と変わる夕暮れや夜明けの空の色、山の色・・・そんな自然の豊かな表情をゆっくりと感じることができるのは、とても幸せなことだと思った。