山行報告書

神戸勤労者山岳会

 

1参加者           西・馬河

 2山域・ルート        涸沢〜北穂〜奥穂〜西穂

3交通手段  電車  車  バス

 

4行動記録

 入山日  2006年9月1日  下山日  2006年9月3日

 8月31日21:30 大阪出発→9月1日6:00上高地

 

第1日  6:55上高地出発→7:45明神(7:55)→8:45徳沢→9:45横尾(10:15)→11:45本谷橋(12:00) →13:50涸沢小屋

 

 第2日  7:00涸沢出発→10:10北穂(11:10)→14:00穂高岳山荘→奥穂ピストン→穂高岳山荘

 

 第3日  4:50穂高岳山荘出発→5:40奥穂(6:10)→9:10天狗のコル→10:40間ノ岳→12:00西穂(12:30)→13:30独標(13:45)→14:45西穂山荘(15:00)→15:55西穂高口 

 

5山行中の問題点・事故に繋がる要因

a予定のルート・日程で行動出来たか 予定ルートをはずれた場合あるいは日程が異なった場合はその理由           

予定通り行動

 c事故に繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す

  特になし

 dパーティーで山行中の事故に繋がる要因について山行後検討したか 

 その他ルートに関する情報・気がついた事など

 事前のRCによる高度感への対応、3点確保など手足の運び方などのトレーニングが役立った。奥穂からジャンダルム間の馬の背が一番の難所だった。悪天候時などは慎重に対応すべきだと思う。後は、鎖があるので3点確保さえ心がければ大丈夫だと思った。ただ、悪天候の場合は視界が悪くなる点、滑るといった点を十分考慮して行動する必要があると思う。ジャンダルムに上る巻き道で少し迷った。以上。

 

報告者氏名  西  2006年9月10日

穂高の岩稜を歩いて

馬河直美

去年、西穂高から奥穂高へ続く道を眺めて、いつか行ってみたいと思っていた。

今年の夏山教室修了山行の白馬岳を終えたら穂高の岩稜歩きをしたいと、西さんが楽しそうに話しているのを聞いて、私も行きたいと同行を申し出た。

去年眺めたあの道を歩くのだと思うと、わくわくしてきた。

西さんは、私が去年RCのトレーニングをしていたので、岩稜歩きは大丈夫であろうと了承してくれて、同行する事になった。

心配していた天候にも恵まれ、期待以上の景色を目に焼き付けることが出来た。

涸沢小屋のテラスから眺める前穂高は、8峰が迫ってくるように目の前に見えて、雲が抜けて全容を見せたり、また隠れたり、夕日を浴びて色を変えたりしながら、私たちを楽しませてくれた。

涸沢小屋から北穂に向かう道で、富士山〜八ヶ岳の山々を見ることが出来た。

途中出会う人達が、穂高に何度も来ているがこんなにいい天気は初めてだとか、滅多にここまでは見れないよ。等と言われていた。見知らぬ人と、感動を共有した。

北穂の山頂からは、槍ヶ岳が目の前に見えた。その奥に、剱岳も見える。

白馬岳から見た剱岳とはまったく違う形で驚いた。「えっ?あれが剱岳?ぜんぜん違う形!!!おもしろ〜い!!!白馬から見た剱の方がかっこいい!!!」ナドナド勝手なことを言って楽しんだ。

北穂〜奥穂への道は岩稜歩き。今までの浮かれようとは打って変わって、緊張の連続。

景色を見てもぜんぜん楽しめない!緊張のほうが大きくて!!!

奥穂〜西穂への道はさらに険しい。

前夜、眠れなかったのは、緊張のせいだろうか?

穂高岳山荘を出発してから日の出を見て、奥穂から今から進む道を眺める。

ジャンダルムが見えるが、どうなっているのか?

危険箇所で一番怖かったのは、馬の背だった。西さんも同じだったみたい。

今回、西さんはとってもたくましかった。馬の背を超える時も、泣き言一つ言わずに、気づけば通過していた。私は、「怖いよ〜、どうしたらいいの???こんなところ行くの!!!」弱々しく泣き言を言った。西さんにアドバイスをもらって、通過した。

半端じゃなく気合が入った。泣き言を言っても始まらない。行くしかない。

あとで、西さんに「私が途中で根を上げたらどうしてた?」と聞くと、「どうしようもないよ、行くしかないんだから!!!」即答された。ほんと、その通り。西さんは、私がもっと怖がらずに進むものだと思っていたらしく、私の発言に驚いていた。馬鹿な事を聞いてしまった。

去年RCのトレーニングをしていたからこそ、今回の岩稜を進めたのだと思うが、ザイルがないのだから、バランス崩して落ちたら終わり。ザックを背負ったままではバランスの取り方もRCの時とは違っていた。

女二人で西穂に向かっていると、すれ違う人に、「二人で?すごいね!」とか「山岳会の人?」とか驚かれた。西穂に着いてから「奥穂から来たの?怖い!この前ジャンダルムで、落ちた人いたのよ」と登山者の人に言われた。着いてから聞いて良かった。それでも、ぞっとした。落ちたら最後ということは、承知していたはずだったのに。

いつもなら下山の後すぐ帰るところだが、今回は、ペンションで1泊して帰ることにした。

二人とも安心して、その日は爆睡だった。

次の日、高山からのバスを待つ間、高山の町を散策した。

朝市で買い食いをして、高山祭屋台会館を見学して、造酒屋の酒蔵を見学して、地酒を買って帰った。試飲させてもらった、「夢ごこち」というお酒。まさに、今回の山行は景色も、スリルも、温泉も、すべて夢ごこちだった。

西さん、ありがとう!!!今までのトレーニングで私を鍛えてくださった皆さん、ありがとう!!!

憧れのジャンダルムに立つ!!                                     記:西

西穂、奥穂間を歩いてみたいと今回の山行を企画。1人ではちょっと怖いなと、夏山教室を一緒に担当した馬河さんを誘った。歩いたことのないルートは、やはりプレッシャーだった。1日目、上高地に着いたときは小雨が降っていた。途中雨具を脱いだり着たりはつらかったが、小雨程度で降ったりあがったりだったので助かった。涸沢近くの花畑ではチングルマもきれいに咲いており、あきらめていた花も十分楽しむことができた。涸沢小屋についてしばらくすると雨も上がり、視界がひらけた。目の前に前穂がくっきりと姿を現した。存在感がある。日差しがあたりその変化が楽しい。テラスで他の宿泊客とともに充分その風景を楽しんだ。(10匹ほどの猿が涸沢に居座っているようだ)

本日の夕食はチーズフォンディユ。前穂を眺めながら、野菜やフランスパンにチーズを付け食べた。ちょっと贅沢でおしゃれで楽しい夕食だ。

2日目(晴れ)

今日は奥穂まで。3日目の岩稜歩きの練習と北穂・奥穂からのパノラマを楽しむゆったりした1日である。テラスで朝日を待ちながらフランスパンにチーズを載せ食べる。常念岳がその姿をくっきりと見せていた。北穂に向かう途中は、どんどん見えてくる山々や花々にカメラタイムが増える。常念、蝶、富士山、八ヶ岳、甲斐駒、鳳凰、北岳などがその姿を現す。そして北穂山頂からは槍ヶ岳がくっきりと見えた。360度のパノラマだった。

奥穂への岩稜歩き、馬河さんは慣れない為か少し疲れ気味だった。涸沢岳でゆっくりし穂高岳山荘に着いたのは2時頃だった。ラーメンを作り食べた。午後になるとガスが出てきた。明日のルートも確認したいと私は奥穂に向かい、馬河さんは小屋でゆっくりすることにした。奥穂からはガスがかかりほとんど何も見ることができなかった。ちょっと残念だった。穂高山荘に戻ってしばらくするとブロッケン現象を見ることができた。私にとって2回目のブロッケン現象だった。やっぱり不思議だ。

本日の夕食は手巻き寿司。練り梅など酸味のあるものがおいしい。手軽で食もすすんだ。馬河さんの食事メニューは、私のこれまでのメニューにないものでとても楽しい。おいしいし、手軽だ。これからの山行に役立つと思う。

星空は涸沢小屋より空に近いせいか、星が大きく見えた。

さすがに北アルプス表銀座です。夏休みも終わり、紅葉はまだのこの時期に小屋は結構な宿泊客でちょっときつかったです。

 

3日目(晴れ)

3時半に起き、明るくなるのを待って出発。

朝の山々を楽しみながら歩く。笠ヶ岳がすごい存在感で現れた。常念も大きい。奥穂で360度のパノラマ風景を楽しんだ後、ヘルメットをかぶり出発。馬の背は高度感もあり、鎖などもないので、一瞬体が硬くなり恐怖心でいっぱいになりかけたが、「風もないし大丈夫。3点確保を確実にすれば落ちることはない。」と、進んだ。来る前にRCをしておいて良かった。と思った。ジャンダルムについた時は、ほっとすると同時にこれからこんな難所がずっと続くんだろうか・・・・と不安だった。でもそれ以降は鎖もあり、馬の背以上の難所はなかった。ただ、緊張感とアップダウンの繰り返しがきつかった。西穂に到着したときには、本当にほっとした。以降のルートは去年の夏、2人とも歩いている。西穂山頂はガスで何も見えなかったけれど、もう充分風景はたのしんでいるので落胆はなかった。西穂山荘からきた登山者に、冷たいパイナップルとプチトマトをもらった。おいしかった。

ロープウエイに乗った時は、もうヘロヘロでした。やっぱり厳しいルートだった。

天候に恵まれ、楽しい山行となった。特に食事メニューは新たな発見もあり馬河さんに感謝です。