山行報告書

神戸勤労者山岳会

1参加者

  上野 上野(ミ) 生田

2山域・ルート

  九重山 牧ノ戸峠〜久住山〜中岳〜星生山〜牧ノ戸峠

3交通手段  電車 フェリー バス

4行動記録(ツアー旅行)

 入山日 2006年10月28日  下山日 2006年10月28日

第1日  

 6:30別府観光港発 ⇒ 8:25〜8:35牧ノ戸峠 ⇒ 9:00〜9:05沓掛山 ⇒

 10:05扇ヶ鼻分岐 ⇒ 10:15〜10:30西千里浜(下山開始)⇒ 11:50牧ノ戸峠 

 

5山行中の問題点・事故に繋がる要因

a予定のルート・日程で行動出来たか 予定ルートをはずれた場合あるいは日程が異なった場合はその理由           

西千里浜から数百メートルの場所(久住分かれ手前)にて転落事故が発生し、山行を中止し下山した。

 

c事故に繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す

 事故が発生した。

 

dパーティーで山行中の事故に繋がる要因について山行後検討したか 

 本人の回復を持って、検討する。

 

その他ルートに関する情報・気がついた事など

牧ノ戸峠から西千里浜までは、よく整備された登山道であったが、ツアー客が多く渋滞する場面もあった。よく整備された登山道でも、周りを見渡すと角のある石が多く、些細なことから登山道をはずれれば危険を多く潜んでいるということを実感した。

 報告者氏名  上野  2006年10月31日

 報告者 上野康雄

 九重山ツアーにて、九重山系の西千里浜(久住分かれ手前)付近で転落事故が発生したので報告します。

1.発生場所 九重山系西千里浜付近

2.発生時刻 10月28日(土) 午前10時15分(歩き始めて1時間50分)

3.事故者  生田良弘

4.事故状況 

1)大きな岩が点在する緩やかな登りで、些細なことで体のバランスを崩し緩やかな斜面を3m程度転落した。転落先に角のある岩に頭をぶつけて停止。数秒の間、ぶつけた状態で停止。その後起き上がり、意識があったため座って待機させた。

2)怪我の状況を確認すると、頭骸骨が一部陥没(12mm程度)していた。(帽子をかぶっていなければもっと重大な怪我に繋がっていた。)

3)私の携帯では電波が届かず、添乗員にお願いしてヘリコプターと遭難対策委員長に事故の連絡を行った。委員長よりヘリコプターの要請には本人の確認が必要と聞いたので事故者に確認を行った。

4)事故発生から15分程度して、意識もはっきりし、歩けるということで自力下山を行った。(下山時刻;午前11時50分、歩行時間;1時間20分)

5)登山口まできても携帯の電波が悪く、公衆電話にて救急車を手配。(携帯は山でも電波状態のいいものが必要と実感した。)約35分経過後救急車が登山口に到着。

6)12時25分救急車に乗り込み、13時30分頃日田市の脳神経外科病院に到着。救急車には、ツアーの添乗員が同行。タクシーで病院に行こうとしたが、土曜日でもあり相当遠くまで運ばれたとの情報もあり、行くのを断念し、添乗員からの連絡を待った。

7)15時30分頃、事故者に付き添っていた添乗員から頭蓋骨骨折のため入院するとの連絡を受ける。また、本人の意識ははっきりしているとの報告を受けた。

8)10/29に事故者奥さんが病院に行かれるので、私とみどりはツアーで次の日帰宅。

9)10/29事故者奥さんから連絡あり。意識ははっきりしているが、手術するかどうかは医者が休みのため10/30にならないと分らないとの報告があった。

10)11/13加古川市民病院入院、11/14手術、11/24退院

5.問題点(リーダー)とまとめ(遭難対策委員会;11/27)

1)緊急時のヘリコプター要請方法がわからなかった。

2)添乗員と計画書リーダの役割の明確化(ツアーリーダの指示を優先か?)

添乗員は大丈夫かと確認し、事故者に山行を続けさせようとする雰囲気があった。頭蓋骨が陥没していることもあり、私どもが一緒に下山するといったら添乗員の一人も一緒に下山した。

3)ヘリコプターの要請の判断基準がよくわからなかった。頭を打撲しているにもかかわらず、結果として、事故者を歩かせてしまった。

4)緊急時の連絡方法が明確になっていなかった。(無線機あるいは携帯を利用する方法)

1)と4)は山のピンチ手帳に記されている。会では現在、それの読み合わせを行っているが、シミュレーションの取り入れてはどうかとの意見があった。2)では、添乗員(ガイド)の力量、判断を考慮し、リーダーが適切に判断したほうがいいのではないかとの意見があった。3)では、脳内出血の可能性があること、登山口まで救急車の到着に時間がかかったこと、および休日で近くに受入病院がなかったこと等を考慮すると、ヘリコプターを呼んだほうがいいとの意見もあった。(5口;150万円)その他、事前に病院等の情報を得ること、帽子(ヘルメット)をかぶること、携帯を有効に活用することが必要である。

 今回の事故は些細なことでバランスを崩しての転落事故であるため、誰にでも起こる可能性があるものであるが、その対策は難しい。

 事故を起こした場合に、周りの人達がすこしでも適切に対応するため、会が主催する一般レスキュー、各種講習会等に積極的に参加すること、及びボッカ等により歩行を安定させることが必要であると思った。また、山のピンチ手帳は事故発生時の、リーダー等の記録や対処法が簡潔に記されている。山に行く全ての人に持って行くべきであると感じた。

 

 

6.事故を起こして(事故者の感想)

今回の事故につき、関係者の方々には大変ご迷惑おかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

 私はいまだに何故負傷したのか、はっきりした原因はわかっておりません。でもこの事故は、私にとって大変意義深いもので、この程度で済みむしろ喜んでおります。わたしの感想めいたことを書かせていただきます。

1.他人の為に、道を譲りすぎることはいけない。

登山者が多く、子供、女子の登山者がおり、山側の道は譲って、斜面側を歩行し、大きい石に右足を乗せ体重をかけたところ転落した。(山側を歩行していれば、事故なし)

2.自分の体力を過信した。

11月初めのフルマラソンに備え週2回走りこみしていた。今回のツアーは散歩程度の気分で参加、ペースも遅いので、内心焦々していた。

3.頭の保護をもっとしておくべきであった。

帽子は冬物を着用していたので、肩をきつく岩にぶつけた後頭をぶつけたが、幸い、12mmの陥没で済んだ。(但し、肩は今でも痛みあり)

今後、岩の多い山の登山はヘルメットを着用したい。

4.事故後、自分自身如何に強い気持ちをもって対応するかが必要である。事故後、治療は一刻も早くする必要がありますが、負傷した本人が傷の状況について一番把握しているので、周囲の人によく説明し対応してもらう事が重要です。

以上ですがマラソンと違って登山は事故は必ず起こると思って登山して間違いないでしょう。今回の事故でも、頭を直撃していればまず、死ぬか、半身マヒになりかねません。

自分の登山技術をよく把握して、技量にあった山以上には登らないことが重要です。そして、登る山は、他人任せにするのではなくて主体的、綿密に調査して山行する必要があり、夏山を冬山に比較して軽く見ない方が良いと思いました。(岩が露出し危険)