山行報告書

神戸勤労者山岳会


1 参加者   名児耶、高岡、井谷

2 山域・ルート   南八ヶ岳(阿弥陀岳南稜、北稜登攀)

3 交通手段  車

4 行動記録

入山日 2008年1月3日  下山日 2008年1月4日

1月2日 (水)(晴)06:30阪神今津→(車)→11:30諏訪南IC手前のPAで幕営(行動0時間)

1月3日 (木)(晴)諏訪南IC手前のPA6:30→(車)→7:00舟山十字路7:15→13:00南稜P3取付→13:45P3終了点→14:15阿弥陀岳頂上14:30→15:30行者小屋、幕営(行動8時間15分)

1月4日 (金)(曇り)行者小屋手前6:45→8:45阿弥陀北稜取付→10:15北稜終了点→12:00行者小屋手前12:30→14:30美濃戸口→(タクシー)→21:00阪神今津(行動7時間45分)

 

5 山行中の問題点・事故に繋がる要因

a) 入山初日、南稜登攀終了後、文三郎道経由では無く中岳沢を下った。 中岳沢上部の斜面でハンド弱層テストを実施したところ腰に力を入れて初めて70cmの雪柱が根元で崩れた、また、左右斜面を注意して観察したところ雪崩跡が確認出来なかったので危険は少ないと判断した。 

c)事故に繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す
 特になし。
d)パーティーで山行中の事故に繋がる要因について山行後検討したか 
 特になし。

 

感想

今回は、シーズン初めの練習として、阿弥陀岳南稜、北稜を行くことにした。3人とも初めてのルート。高岡くんは、初めての岩と雪のバリエーション登攀だった。
入山初日、舟山十字路から広河原沢沿いの林道を行き、途中で右側の斜面を上がる予定にしていたがはっきりしたトレースに従い林道沿いに先を行き過ぎた。適当なところから右斜面に取り付き稜線を目指して登り始めた。
 井谷さん中心に低木林をよけながら膝下ラッセルでトレースのある稜線に辿りついた。途中、阿弥陀南稜方面を示す標識があったにも関わらず、人のトレースを追いかけすぎた。トレースは、広河原沢奥でアイスクライミングをする人たちのものだったのだろう。立場山からは堂々と白く輝く南稜上部を見渡せた。2〜3パーティー先行しているようだ。青ナギを越えて一登りしたところで登攀準備した。ここからは、権現岳から赤岳に至る豪快な稜線が見渡せた。年末に降った雪で真っ白だった。
13:00頃予定通りP3横のルンゼ取付に着いた。 岩は、全然見えておらず、ちょうど良い固さの雪壁になっていた。先行パーティーのトレースが階段状についておりロープ無しでそのまま登った。上半分は、岩が露出していたので念のため途中の支点からロープを出した。名児耶リードで途中の潅木等にランナー取りながら終了。 約20m程上の稜線でスノーバー、ピッケルで支点を作成して、高岡くん、井谷さんを迎えた。あとは、ロープ無しで頂上まで抜けた。阿弥陀岳から中岳のコルに下る途中、中岳沢内にはっきりしたトレースを見つけた。重荷を背負っての登攀は少々疲れたので、弱層テストを実施して危険が少ないことを確認した上で予定を変更して沢を下った。すぐに行者小屋に到着して早々にテント内でビールやワインを楽しんだ。

2日目、4時半頃に起床。曇り空。夜のうちに少し雪が降ったようだ。テント内で登攀準備して6時45分頃出発。
 中岳沢西側の尾根に続くトレースは途中から消えていた。 昨晩の降雪は、それほど無い様に見えたが乾いた雪が風に飛ばされて北稜および中岳沢西斜面に集まっているようだった。 この時点で、今日の中岳沢下降はしないことにした。 岩稜手前の急斜面は、高岡くんがラッセルで道をつけてくれた。 初心者がいる場合は、ロープ出した方が良いと言われている箇所だが、今回のメンバーにはその必要は全く感じ無かった。 一登りすると岩稜取付が現れた。 少し左側に古いハーケンの確保支点を見つけた。 今日は、高岡くん、井谷さんにリードを経験してもらうことにしていた。 1ピッチ目は、高岡くんリード。
 しかし、出だしすぐのクラック手前でスタックしてしまい、名児耶に交代。しかしながら、ランニング支点も良いフットホールドも見つからず確かに難しいと感じた。 大きなホールドに両手をかけて腕力で無理に登ろうとしたところ、下に降りた高岡くんが別のペツルボルト支点取付を発見したと教えてくれた。 そちらに移ることにした。 こちらは無理せずに登れそうなので再び高岡くんにリードを交代してもらう。後から別パーティーがやって来た。 最初の取付から登ろうとしているところを観察させてもらった。 
クラック沿いに行くのでは無く、右側のカンテを乗り越えた面から登っていた。なるほど、次回はそちらから行こうと思う。 高岡くんは、すぐ上のテラスでピッチを切らずに更に上のテラスまで登った。50mロープぎりぎりの長さだった。次は、井谷さんリード。フェースを越えるとすぐにやせた雪稜が見えるとのコールがあった。 他パーティーの方にその先の這松でピッチ区切ると良いことを教えてもらい、井谷さんにその旨を伝える。後続の名児耶、高岡くんが合流して登攀終了。
井谷さんも高岡くんも始めて岩と雪のバリエーションリード体験だったが、とてもスムーズで心強かった。文三郎道経由で行者小屋に到着。テントを回収して美濃戸口からタクシーに乗り舟山十字路に送ってもらった。お天気と馬力のある同行者のお陰で予定通りに計画実行できた。  今回、個人的には体力アップの必要を痛感した。トレーニングを実施して重荷を背負ってより困難なルートでも余裕を持って挑戦できるようになりたいと思う。

 

報告者氏名 名児耶