山行報告書

神戸勤労者山岳会

1.参加者 名児耶、高岡(2班)

2.山域・ルート 穂高連峰(岳沢ベース 奥穂南稜)

3.交通手段  

4.行動記録  入山日2008年4月26日(土)  下山日2008年4月29日(火)

 

4月25日(金)21:30会事務所→(車)→2:15平湯温泉駐車場で幕営(行動0時間)

 

4月26日(土)(曇り時々雪、夜雪)アカンダナ駐車場7:00→(バス)→8:00上高地8:30→11:30岳沢、幕営 その後 岳沢周辺で雪上訓練(行動3時間00分)

 

4月27日(日)(雪のち晴れ)岳沢周辺で雪上訓練、その後奥穂南稜取付偵察(行動7時間00分)

 

4月28日(月)(曇りのち晴れ)岳沢4:00→4:30奥穂南稜取付→7:00トリコニー取付→11:30南稜の頭11:45→12:00奥穂頂上→12:30奥穂小屋13:00→16:30横尾17:00→20:00上高地(行動16時間00分)

 

4月29日(火)(晴れ)上高地3:00→6:00岳沢8:30→10:30上高地11:00→(バス)→12:00平湯温泉13:00→(車)→17:30神戸(行動5時間00分)

 

5.山行中の問題点・事故に繋がる要因

予定のルートで行動出来たか 予定ルートをはずれた場合はその理由

(1)     27日奥明神沢経由で前穂に登頂予定であったが、夜間10cm程度の積雪があったため登下降がより困難になるだろうと判断し、高松さん、島田さん、三谷さんのリーダー3人だけルート偵察に行き、残りのメンバーは引き続き岳沢周辺で雪上トレーニングすることになった。

(2)     28日奥穂南稜登攀後、奥穂〜天狗のコル経由で岳沢に下降する予定であったが奥穂南稜登攀で予想以上に体力を消耗したこと、また南稜の頭〜奥穂で雪庇崩落を誘発してしまい不安をかかえての西穂稜線縦走は危険と判断し、涸沢〜横尾〜上高地経由で岳沢に戻ることにした。

(3)     29日コブ尾根登攀予定であったが前日のルート変更により時間が足りなくなり中止となった。

 

事故の繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す

南稜の頭〜奥穂で雪庇崩落を誘発してしまった。 雪庇が涸沢側に発達していたので高岡先頭で10m程間隔を空けて名児耶が続いた。 雪庇の末端からも10m程度は離れた反対斜面を歩くようにした。 南稜の頭を出発して数分後、ズドンという乾いた低い大砲のような音が響いたと同時に高岡〜名児耶を直線で結んだ右側5mあたりの地点にひびが入り、崩落した。  二人が歩いた線上は崩落していないが二人の重みが弱いところに伝わったのかもしれない。 

 

パーティーで山行中の事故に繋がる要因について山行後検討したか 

雪庇が発達した斜面では極力反対斜面を歩くようにする。 また、踏み抜きの可能性が高いと判断した場合は、ロープの使用も検討する。

 

感想

今回は、合宿形式であったが、個人的にはいろいろな経験を積むことが出来、有意義な山行だった。 先ず、合宿全体の運営面については、前穂高、西穂高登頂を目指しての事前準備がまだまだ足りないことが確認できた。 前穂登頂にあたって中原さん以外のリーダー全員、奥明神沢の積雪期ルートを経験していなかったため、土曜日の雪上トレーニングで特に下降に不安のあるメンバーを連れて登頂してもしっかりとサポート出来るかどうかの判断がつきにくかった。 結局、日曜日はリーダー3人だけで偵察することにした。 今回は、事故を防ぐためには最善の判断だったと思うが、日曜日までの参加メンバーは岳沢から上は登頂できない結果となってしまった。 今後、慣れていないメンバーがパーティーに含まれる場合は、リーダーがしっかりと事前調査し、かつ参加メンバーは、固い雪の斜面の登下降を春山合宿前に御嶽山内の安全な場所で事前に練習する必要があると思った。

 

3日目の奥穂南稜は、素晴らしいルートだった。 雪壁、ナイフリッジの雪稜、岩稜、またいろいろな性質の雪と向かい合えるなどアルパインクライミングの様々な要素が詰まったルートで距離も適度に長く登り応えがあった。 ガイドブックの標準時間内では登れたが、西穂稜線を辿るのに不安が残るくらい、特に名児耶が体力を消耗し過ぎてしまった。 明らかに山行前一ヶ月のトレーニング不足だった。 今後の課題として強化していきたいと思う。

報告者氏名 名児耶