山行報告書
神戸勤労者山岳会
1.参加者 名児耶、高岡
2.山域・ルート 屏風岩雲稜ルート
3.交通手段 車
4.行動記録 入山日2008年7月05日(土) 下山日2008年7月06日(日)
7月05日(土)(晴れ)06:30JR神戸駅→(車)→11:00アカンダナ駐車場11:30→(バス)→12:30上高地12:30→14:30横尾15:00→16:30T4尾根取付17:00→18:00横尾、幕営(行動5時間30分)
7月06日(日)(晴れのち雨)横尾4:30→6:30T4尾根取付→10:30屏風岩下部スラブ帯撤退点→11:30T4尾根取付12:00→13:30横尾14:30→16:30高地17:00→(バス)→18:00平湯温泉19:00→(車)→23:30神戸(行動12時間00分)
5.山行中の問題点・事故に繋がる要因
予定のルートで行動出来たか 予定ルートをはずれた場合はその理由
T4尾根取付を間違えてその右側の屏風岩下部スラブ帯を登ってしまった。途中でルート(ピトン)がなくなり、そこで撤退した。
T4に戻った地点で高層雲がかなり広がり、予報通り雨が降り出しそうなのでそのまま下山した。
事故の繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す
下部スラブ帯2ピッチ目の途中でピトンも支点に出来る潅木も無くなった。
懸垂下降で用いたであろう残置のシングルロープが垂れ下がっていたので、テスティングした上、自己脱出の要領でそのまま上を目指した。
あと10mほどで上に到着できそうであったが、自分達のロープ(50m)がいっぱいになり、そこで撤退を決めた。
残置ロープで途中まで懸垂して、その後、支点を作成して、自分達のロープでローワーダウンして降りた。
残置ロープは60m以上のものであったようだが、引くと良く伸び、中の繊維は大丈夫だと思った。
しかし外皮は劣化してかなり硬くなっていた。
今回はなにも起こらなかったが、上部の状態もわからない劣化した残置ロープに命を預けることはやはり避けるべきだったと思う。
パーティーで山行中の事故に繋がる要因について山行後検討したか
残置ロープは、基本的に使用するべきではない。
登ることばかり考えすぎて冷静さを欠いていた。
感想
日曜日の午後から雨の予報であったが、朝起きると星がたくさん見えたため予定通り登攀することにした。
うまくいけば午前中には上まで抜けることが出来るだろうと思っていた。
屏風岩東壁の概念図が平面的であったため、偵察時に1ルンゼ押し出しをつめて行き着いた壁の左端がT4尾根取り付きだと勘違いしてしまった。
撤退した後に確認したところ、T4尾根取り付きは壁の左側面すぐのところにあった。
雪渓がまだかなり残っており、シュルントの中に取り付き点が隠れていた。
下部スラブ帯の1ピッチ目は、T4尾根の1ピッチ目3級スラブ壁だと思って登り始めたが、どうも5.10以上はありそうなルートだった。
途中右端にもう1本ルートが見えたので振り子トラバースでそちらに移動したが、やはり3級とは思えない内容だった。
この地点で下に下りていれば、まだ時間に余裕があったかもしれないが、上で本来のルートで繋がるだろうなどと安易に考えすぎた。
結局、2ピッチ目もクライマー交代等で時間を取った挙句に上で行き詰まり、その時点では雲がかなり低くなってきたので撤退することにした。
今回、偵察も合わせて同じところを4回渡渉することになった。
雪解けの水が膝上の深さで勢い良く流れて、裸足だと痛くて2歩が限度であったため靴を履いたまま渡った。
高岡君はウールの靴下をはいたまま渡っていたが、渡り終えるたびに痛さを耐えるためにおたけびを上げていた。
この時期は、水量が多いので、沢靴あるいはせめてネオプレンの靴下くらいは持っていった方が良いと思う。
上高地まで帰るころにはポツポツ降り始め、あとで確認すると夜は結構強い雨が降ったようなので撤退して正解だったと心を慰めた。
高岡くんと是非リベンジしようと確認しあって今回の山行を終えた。
報告者氏名 名児耶