10月31日(土)〜11月1日(日)にかけて全国救助隊交流集会が富山県の国立登山研修所で開催され、
全国から96名の救助隊員が集まり、神戸労山から大石、中原の2名が参加して来ました。
この集会は、レスキュー技術の研修と技術向上・事故防止を目的に2年に一回開催されています。
集会は、全国連盟の井芹遭難対策委員長の挨拶で始まり、最初に悳秀彦氏(労山顧問、日本山岳協会遭難対策委員、
日本山岳会指導委員)による「搬送前の処置・山での救急法」と題して基調講演がありました。
講演は、救急処置の定義から始まり、救命率の具体的数字を挙げてなぜ急いで手当が必要か?いかに早く心肺蘇生を開始するか、
その重要性が説明されました。
心肺蘇生については、過去の心肺蘇生技術の歴史が紹介され、CCC(胸骨圧迫のみ)とCPR(胸骨圧迫+人工呼吸)の比較、
CPRとAEDの優先比較や組み合わせについてデータを基に説明されました。つづいて搬送手段におけるドクターヘリの事情について
日本とヨーロッパの違いが説明されました。
後半では、救急処置のシュミレーションのやり方について、使用する道具の紹介と共に、携行している装備の効果的な使い方が紹介されました。
約3時間の講演は、既に知っていることもありましたが、再確認するという点でも有意義なものでした。
続いて各地方連盟の現状報告があり、神奈川、静岡、石川、京都、宮城、兵庫から最近の活動や事故対応等の報告がありました。
兵庫からは救助隊副隊長の渕上氏(甲山)から会員が六甲山登山中心肺停止になった際、付近にいた登山者による心肺蘇生法により一名をとりとめた報告がされました。
続いて全国遭対委員の今井氏から基本技術の確認ということで、エイトノットの正しい結束の仕方、フリクションノットの特質、
ビレイ点でクローブヒッチのセルフビレイを取る際に、セカンドビレイの操作を考慮した取り方をする方法等が説明されました。
第一日目の集会が終わった後は食堂にて夕食&交流会ということで地元の酒を頂きながら遅くまで楽しい交流が続きました。
二日目は、全国連盟遭対よりレスキュー時の救助者のバックアップシステムが紹介されました。これは緩やかな動きには追随するが衝撃荷重には停止する
アサップというペツル社製のレスキュー装備を使うもので、救助者がメインロープにID(登下降器)を使って登下降しながら作業する際、
別のロープからアサップでバックアップをとり、万が一ID等の破壊で救助者が墜落する時でもアサップが停止して助かるというシステムです。
続いて地方連盟によるレスキュー技術のデモに移り、兵庫が懸垂下降からの登り返し、東京がシート梱包、大阪が斜張りシステム等をそれぞれ紹介しました。
最後に井芹委員長から閉会の挨拶で今回の集会を終え、参加者はそれぞれ地元への帰途に着きました。
<集会で印象に残った言葉> (今井氏の基本技術の確認で)
(悳氏の講演から)
(井芹氏の閉会の挨拶から)