山行報告書

神戸勤労者山岳会

1参加者
大石、中原、他8名

2山域・ルート
 九州 比叡山、雌鉾岳

3交通手段
 

4行動記録
 <入山日2010年11月26日。  下山日2010年11月29日>

第1日7月26日(金) 神戸21:30−神戸鳴門自動車道−徳島道−
第2日7月27日(土) −松山道−八幡浜港よりフェリー−臼杵港−延岡−比叡山T峰第1スラブスーパールート(8P、X+)9:50−12:45終了点−庵鹿川(泊)
第3日7月28日(日) 庵鹿川−雌鉾岳庵の秋ルート(Y‐)10:00〜大滝左ルート(X+)−15:30終了点−庵鹿川(泊)
第4日7月29日(月) 比叡山U峰南面ショートルート−11:30往路を帰神−23:00神戸着

5山行中の問題点・事故に繋がる要因

  1. 予定のルート・日程で行動出来たか 予定ルートをはずれた場合あるいは日程が異なった場合はその理由
     なし
  2. 事故に繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す
      なし  
  3. パーティーで山行中の事故に繋がる要因について山行後検討したか
        なし

6その他ルートに関する情報・気がついた事など
<比叡山の岩場>
@ 車を降りて5分で取付き点に到着できる。前日の夜神戸を発って、翌朝9時にはクライミングを開始できる。
A 岩は花崗岩でしっかりしている。カムやナッツが有効。

<雌鉾岳の岩場>
@ 駐車場から取付きまでは一般登山道を約40分。要所要所にはケルンが積んであり、 登山道から取付き点への分岐には看板がありアプローチは明瞭。
A 雌鉾岳は高距300mの花崗岩のスラブで、今回登ったルートは「猫の乳首」と呼ばれる結晶ホールドを拾って登る。 雌鉾岳のルートはグランドアップで拓かれており残地は非常に少ない。核心部に入るところで最後のボルトが足下5mとか、 グレードの低いピッチ(W〜X−)ではピッチ上にボルトは1〜2本、とかである。しかも1ピッチは45〜50mある。

<庵鹿川>
@ 今回、比叡山、雌鉾岳の登山基地となる庵鹿川に宿泊させてもらった。宮崎の岩場と言えばクライマーなら 知らない人はいない、庵のオーナーである三沢澄男氏は我々を快く歓待して下さった。夜の宴会では岩場の開拓時の話や 海外でのクライミングの話など聞くことができ、昼間のクライミング以上に濃密な時間を過ごした。ここはクライマーの天国である。 氏曰く「ここはいつでも開いているんだから、いつでも来たらいいんだよ」そして「シーズンは11月がベスト」とのこと。 来年は神戸労山で訪れてみたいものだ、心地よい酒に酔いながら、そんなことを思いながら次第に酩酊していった。


報告者 中原 2010年 11月30日

九州宮崎 比叡山・鉾岳クライミング 2010.11.26−29

報告者  大石

雌鉾岳の大スラブ
今回の宮崎の岩場ははじめて訪れる岩場だった。このクライミングツアーには連盟の救助隊と登攀教育部の有志で10名が手を上げた。 「ボルトの少なさに度肝を抜かれる。」とか「1ピッチにボルト1本しかないところがある。」とか「そのボルトを見つけてようやく ルートが合っているのを確認できる。」など、なんとも恐ろしい情報ばかり聞かせれて、私はちょっとビビッてた。でも、 宮崎と言えば「南国宮崎」。お天気も良さそうだし、ぽかぽかクライミグだ!
1日目 比叡山1峰第1スラブスーパー
5:15 臼杵港でフェリーを降りて一路比叡山の岩場へ。登山口の駐車場に着く。なんとも寒い!「南国宮崎」のはずだけど…。 日が差すと気温も上がってくるはず!凍えながら登攀の準備をし、5パーティーに分かれて岩場の取り付きへ向かう。取り付きは駐車場からなんと5分!
9:50 第1スラブノーマル、第2スラブを登る2パーティーも同じ取り付き点からの出発になる。ようやく岩面に日が当たりだした。
1ピッチ目Wの階段状の快適なスラブ。ブッシュを抜けて、第1スラブノーマルのパーティーともここでルートが分かれる。
2ピッチ目W+に出るとブッシュに邪魔されず背後の景色がすばらしい。ボルトは思っていたほど少なくない。途中フレークなどでカムが使えたりする。
3ピッチ目W−初めての岩場は易しいところでもやはり刺激的。ワクワク感がいい。フレークや穴ぽこを繋げて登る。終了点のテラスで第1スラブノーマルの パーティーとまた合流する。このテラスに出た途端に風がすごく強く、風の通り道なんだろうか?「南国宮崎」なのに…。ビレーしながら 凍えてしまった
4ピッチ目 亀の甲羅スラブはW+を行く。
5ピッチW+,6ピッチ目Wも難なく過ぎて、7ピッチ目X+はNさんにリードをお願いする。
12:45 8ピッチで終了点に着く。ピークから他のルートを登り終えたメンバーの声が聞こえる。ピークで10名全員登り終えるのを待ち、 下降路に向かう。岩はすっきり快適で、初めての岩場の緊張感も心地よく、また、深い谷を挟んで聳える岩峰の大な姿の景色も すばらしかった。宿泊は庵鹿川を使わせていただいた。庵を囲んで遅くまで食べて飲んで、楽しい時を過ごした。そしてそこは 五右衛門風呂だった。遠い昔の子供の頃、おばーちゃんの家が未だ五右衛門風呂だった頃に入った記憶があるが、この時代に 五右衛門風呂に入れるとは!


2日目 雌鉾岳庵の秋ルート〜大滝左ルート

庵の秋ルート
鹿川キャンプ場の駐車場に車を止める。鉾岳の大きな岩峰が聳えている。雌鉾岳の取り付きまでは整備された登山道を行くと 40分位で着く。そこに着くと目を見張るような広大なスラブが広がっていた。「日本にこんな岩場があったのか!」それを見上げて メンバー誰もが「ウォー!」と吠えていた。
10:00 それぞれのルートに分かれて登りだす。庵の秋ルートは出だしからスラブをトラバースして進む。 ボルトは前情報どおりピッチ に1個見えるだけで、ルートも登ってみないとわからないって感じだった。
 1ピッチ目、中原さんからリード。
まず何メートルか登ったところのフレークにカムを噛まし進んで行った。「フォローもトラバースでランナウトしているので、 足を滑らせたらずるずる振られながら結構な距離を落ちるんだろうなぁ。」と思うと、恐ろしかった。スラブ登りに慣れるまで すごく怖かった。美しいトラバースルートなどを行く他のメンバーから離れ右へ右へ進む。
 2ピッチ目 易しいトラバース 10メートル
 3ピッチ目4ピッチ目 Y− 直上。中原さんに行って貰う。細かな「猫の乳首」と言われる結晶をホールドとして摘んで登る。
 5ピッチ目で美しいトラバースルートと合流する。
 6、7ピッチ目 中央バンドをトラバースして右端まで進む。折角あるボルトを見落として、取らずに進んでしまった。ここから 大滝左ルートに入る。  8ピッチ目X、9ピッチ目X+と2ピッチを直上して一の坊主の下に出る。この頃になると少しスラブに慣れてきて快適にリード することが出来た。そこからトラバースして二の坊主と三の坊主の間に入りそこからピークへ抜ける。 ピークからは周囲の雄大な景色が一望でき、快適なところだった。もっとゆっくりしたかったが、登攀を早く終えたパーティーが 取り付きで待っているので、すぐに下山に掛かる。
15:30 ピークからは1ピッチ懸垂し、 ブッシュ帯に降り立ちそこから下降路に入り、フィックスロープを頼りに下山する。


3日目 比叡山2峰ショートルート

比叡山T峰(右)
この日も冷え込んで車の窓は霜で真っ白に凍り付いていた。南国宮崎のはずなのに…。登っていても手足の感覚が なくなるくらい岩が冷たかった。指がかじかんでしまって、登りながらフーフー息を吹きかけて暖めなければならなかった。 フェリーの時間を逆算し11:30ごろまでクライミングを楽しむことにする。ショートルート(1ピッチ)を3本、それぞれの 自分のレベルに合ったルートを楽しくクライミングして宮崎でのクライミングを終えた。 3日間、まずますお天気に恵まれて、はるばる九州までやってきた甲斐があった。初めての 岩場は刺激的でいい緊張感を持って楽しめる。またこんな雄大なスラブは他にはそうそう 無いだろう。比叡山、鉾岳ともにその景観もすばらしく是非また訪れたいと思う。