山行報告書

神戸勤労者山岳会

1.参加者

L大川、千賀、松井、田中、野村

2.山域・ルート
白山系 経ヶ岳 ピストン (2月例会)
3.交通手段
 
4.行動記録
<入山日2013年2月16日 下山日2013年2月17日>                                                                                                      
2月15日(金) 21:30西宮出発→翌1:30 六呂師高原青少年自然の家 駐車場着(仮眠)
2月16日(土) 5:30起床→6:40 六呂師高原スキー場(経ヶ岳登山口)出発→10:30保月山→11:25牛岩→14:50杓子岳周辺(テント泊)
2月17日(日) 4:30起床→6:20杓子岳出発→中岳→8:05経ヶ岳(南峰 H:1625)→8:45経ヶ岳北峰に向かう稜線→経ヶ岳(南峰)→中岳→10:05杓子岳→11:10出発→13:00保月山→15:05林道との分岐→16:00六呂師高原スキー場→ 22時30分 西宮着
5.山行中の問題点・事故に繋がる要因
 
a. 予定のルート・日程で行動出来たか 予定ルートをはずれた場合あるいは日程が異なった場合はその理由
・2月17日経ヶ岳山頂まで時間的には予定通り進行していたが、経ヶ岳北峰に向かう稜線でトップのOが雪屁を踏み抜き、1.5m程割目に落ち(怪我はなかった)、そこから先も雪屁も非常に発達して危険な状態であったので、北峰は中止し下山した。
・帰路、杓子岳手前のナイフリッジ(往路は通行不能で、西側の斜面に20m程懸垂下降して通過)の通過で、往路で懸垂下降した斜面の雪の状況が不安定で、
 その部分の登り返しを止め、斜面を大きくトラバース気味に下降し、斜度が少し緩くなったところで登り返し、再度尾根に戻った。
 ここで時間を2時間ほど使ったことと、計画書そのものの下山の行動時間を甘く見ていたため、最終下山時刻は16時(予定12時30分)と3時間30分ほど遅くなった。
・車を自然保護センター駐車場に駐車していたが、長時間放置されている車を不審に思ったセンター職員が大野警察署に通報。
 事前に今回の山行計画書を警察署に郵送していたため、16時に大野警察署から車の所有者のSさんに、下山確認の電話が入った。警察署に送った山行計画書はしっかり管理されていることを実感した。                 
             
b. 事故に繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す
・上記の通り、2月17日経ヶ岳北岳に向かう稜線でOが雪屁を踏み抜き、割れ目に1.5m程割目落ちたが、両手と足で止めた(怪我はなかった)。
 滑落後の足元はさらに切れ落ちておちており、さらに大きな滑落となった可能性があった。

(対策)
・雪屁の大きさの判断を間違えた。雪屁は、見た目や想像以上に大きく発達していることを肝に銘じて、できるだけ離れた反対側を慎重に通過すること。
・雪屁をよく観察すると、雪屁部分の雪質や色が通常部分と少し変わっていたので、今後に生かしたい。
・雪山ではパーティはできるだけ離れず、お互いに注意しながら進行することが大切。

                
6.感想

私は、経ヶ岳は厳冬期3回目の挑戦となったが、今回は今まで以上に雪が多く、保月山から杓子岳の間のナイフリッジには非常に大きな雪屁があり、通過困難かと思われたが、
メンバーの力を合わせて乗り切り、また天候にも恵まれ(2月16日は雪であったが、2月17日に向けて天候が回復した。)念願の登頂ができ充実した山行となった。
メンバーの皆様、関係して頂いた皆様、ありがとうございました。

また、最近、会員の活動が活発となり、会員全体のレベルアップに繋がっていることを実感した。
ただ、個人的には再度雪屁に係るヒヤリハットをおこしてしまったことを反省している。この失敗を今後教訓として生かしたい。
大川

六呂師高原から保月山ルートで経ヶ岳へ

2/16 冬型気圧配置 小雪・風

雪の六呂師高原スキー場入山、旧リフト跡沿いをスノーシューで登る。
結構立木がうるさい。一息で林道まで到着。休憩もそこそこに出発。保月山への取り付きは結構な急登で直登は困難。無駄の少ない登攀ライン取りを考え左巻きに進む。
胸まで雪に埋まる急な雪面を登り稜線へでると、今度はウインドクラストした急な登りとなる。ここはスノーシューとストックではきつい急登、ストックをピッケルに持ち替え乗り越える。傾斜が落ち着きしばらく進むと保月山だ。ここの頂上は雪庇が発達し平らな箇所はなくなっていたので休憩できず先へ進む。
さらに進むとスノーシューではトラバース出来ない斜度となり、アイゼン+ハーネス装着。ここからナイフリッジを間隔を開けてトラバース開始。
牛岩は完全に雪のなかの様子で姿を確認できず、右巻きトラバースでなんなく回避。ますます急になる斜面を左稜線沿いに進むと、雪庇上で先下が見えず進退窮まる。
ここでメンバーで協議し立木で20M程懸垂下降し斜面へ降り立つことを選択し下降した。
下降した先は腰まで埋まる急斜面、そこから深雪雪壁をだましだましトラバースし、少し雪が堅くなったところで登り返す。
木登りを交え、何とかナイフリッジを抜け稜線へ、深い雪の為歩みが遅いので頂上までわずかだが、再度スノーシューへ履く。あっという間に杓子岳頂上へ到着。
途中メンバーが2M程度のシュルンドに落ちるが無事。風雪強く視界なく、頂上直下の風下に移動しテント設営。行動終了。

2/17 冬型から移動性高気圧 晴れ

翌朝は快晴、気温はキンキンに冷え-17℃。風は強くなくとっても良いコンディション。
早速経ヶ岳へ向け行動開始。今日もスノーシュースタート。
朝焼けの大展望のなかを中岳は巻かずに直登。次のコルまでは雪庇の発達した稜線を避けて緩やかな斜面をトラバース。コルからは急に雪が堅くなり、アイゼンにチェンジ。
この先稜線までアイゼン登攀となる。雪は堅すぎず柔らか過ぎずちょうど良い。日も差し穏やかな頂上へ到達360度の大パノラマ。しかし平らに広がった頂上も雪庇の上の様子で不気味。隠れたクラックがいくつかあり、不用意に動くと危険。再びメンバーが今度は腰まではまる。
記念撮影後、北峰へ向け移動。斜面をおり、雪庇を避けて行動するも避けきれず、1名は腰まで、別の箇所でもう1名が首まで穴に落ちる。
我々がいる雪面下も空洞が広がり危険な様だ。行動はここで中止し、下山することとした。
帰りはバックステップを織り交ぜながらコルまで下山、その後スノーシューでテントサイトまで移動。快晴の天候に恵まれ充足の時。
1時間で休憩・テント撤収し下山開始。
すぐにアイゼンになるのは分かっているが、まずはスノーシュースタート。急になる手前でアイゼンにチェンジし下降継続。
うっすら残る昨日のトレースをなぞり稜線から急傾斜の斜面トラバースに移行。これはトレースがなければわかりにくいところだ。
そして昨日の核心部、懸垂ポイントへえ到達。やはり登り返しは困難なので、さらに下降・トラバースし稜線へ戻るように進む。
斜面は雪が柔らかくそして深く、隊の先頭は雪をくずしながら横ばいでだましだまし進む。だいぶ巻いて何とか稜線へ戻り一安心。
もう牛岩の近くまで来てしまった。
牛岩は、昨日と同じく(帰りなので)左巻きに処理した。ここから日向となりポッカポッカ陽気(気温-1℃)になる。
汗をかきかき保月山まで進み安全圏へ。装備解除。大休止。スノーシュー装着し残務処理。
とはいうものの上りは気づかなかったが斜面はなかなか急でこんなとこ登ったかななんていいながら滑りながら下山。
途中ずりずり行っちゃいそうな斜面で安全のためスノーシューを外し壺足へ。そうそうここは上りにピッケルを出したことろだ!
その後も快調に下山すると、稜線を外れるポイントを行き過ぎトラバースして修正し難なくルートへ復帰し林道へ。
林道からスノーシューでうるさい藪を越えてゲレンデ到着。
ここで携帯電話がうるさく鳴る。しかも呼び出しが長い。仕方がないので携帯電話を取り出すころ呼び出しが切れるが、着信番号は見覚えがない。
かけ直すと福井県警大野警察署だった。何でも下山が遅いので心配してかけてきたとのこと。
この前も兵庫県警の方が下山時間に確認の為見回りにきてくれたし、昨今の遭難事情で先手の対応をしているのかな?
ようやく長かった行動も終わりスキー場へ到着。
最後に盛りだくさんの山行を企画してくださったリーダー、いろいろなアトラクションにめげずご一緒してくださったメンバーに感謝します。
ありがとうございました。
千賀

 
経ヶ岳ナイフリッジ 経ヶ岳ルート工作 経ヶ岳懸垂

報告者

大川 2013年2月26日