山行報告書

神戸勤労者山岳会

1.参加者

CL千賀・SL田中・西・松井・高田・大塚

2.山域・ルート
木曽御嶽山
3.交通手段
 
4.行動記録
<入山日2013年4月20日 下山日2013年4月21日>                                                                                                      
〇4月19日(金) 晴れ 21:00西宮発-2:00おんたけ2240スキー場
〇4月20日(土) 曇りのち雪 6:30起床  8:00ゴンドラ乗車 8:15三笠山8:30-9:10 7合目9:25-10:25 8合目 10:35- 12:30王滝頂上12:40 -13:20剣が峰13:40-14:10賽の河原 テント泊
〇4月21日(日) 雪のち曇り 5:30起床 8:55テント出発-10:00剣が峰10:20-10:45王滝頂上11:00-11:30 9合目12:15-金剛童子-12:45 8合目12:50 –13:35三笠山-14:10駐車場
おんたけ温泉こもれびの湯-王滝食堂経由で帰神
5.山行中の問題点・事故に繋がる要因
 
a. 予定のルート・日程で行動出来たか 予定ルートをはずれた場合あるいは日程が異なった場合はその理由

・アイゼントレ中止

・その他予定通り

                
             
b. 事故に繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか

テント撤収時のテントポールの破断とテントの裂け破れ

装備(ゾンデ棒・スコップ・コンパス・ピッケルバンド)の雪への埋没と紛失。

装備の上備(ワカン故障・ワカン忘れ)

長い出発準備時間

                
6.その他、ルートに関する情報・気がついた事など記す
【千賀CL】
・今回は南岸低気圧通過の為、降雪の予報。 天候悪化の程度は通過位置と発達度合いによって左右されるため予報が難しい。 ワーストケースの予想では4/20は曇り+頂上付近では視界上良、15時以降雪。夜間の最大風速20M/secと予想。
4/21は雪のち曇りで午前中は視界上良と予想。午後から回復基調。
降雪量の見通しは数cm~50cm程度まで何とも言えない状況。
・この為 4/20は15時までにテント設営。4/21の行動は現地の天気次第で検討。
降雪予報の為荷物にはなるが、ワカンorスノーシュー持参する事とした。

・天候と行動での注意点など 4/20は曇りだが視界は数百あり行動に支障なし。頂上で-10℃。風は10M/sec未満。   山頂で下山するか・二の池へ向かうか検討したが、明日朝には風は行動出来ないものには ならない予報であることと、視界上良時もルートの目印となる目標物が多いことから問題ない と判断し二の池へ向かった。    雪が固くスコップで掘れない為テント設営場所の決定時時間を要した。 テント設営後の15時以降雪が降り始めた。ここまでMSMの予報通り。 夜半にかけ風雪強くなり、4/21朝までの降雪量は30cm程度となった。 4/21朝は5:30起床するもまだ風雪強い為アイゼントレを中止とし、8:00出発予定とした。 朝、装備は小屋の軒下に並べて置いていたため完全に雪の中に埋没。掘り出す必要が生じた。このほか、離れた場所に置いたトイレ用のスコップは目印なく埋没、作業中に気づかすザックから外れたゾンデ棒も同様に埋没し、発見できず。 この点、リーダーが注意喚起し文字通り一か所にまとめて置くべきであった。 このほか、テント撤収時に強風によりテントが飛ばされポールの破断とテント本体が裂けるトラブルが発生した。これら作業とトラブルの為、出発が8:55になり、予定より1時間遅くなった。厳冬期に同様の事象が発生すると、低体温や凍傷などの原因となり得、遭難につながる事象であるので今後注意したい。今回は若干の降雪と風約10M/sec程度気温約-3℃程度であったため、長時間の屋外作業でも問題は生じなかった。 この時の雪は気温が高いため湿雪と雨氷(凍雨)/着氷性の霧で髪・衣類やザック・コンパスに至るまでバリバリに凍った。   特にゴーグルはすぐに氷がつき視界がなくなる状況で、手袋で温め溶かして対応した。 下山は、ワカン・スノーシューで行動を開始。視界は約10-20M程のホワイトアウト状態で、地形図・コンパス・GPSを駆使し行動した。 下りになる剣が峰から先はアイゼンに切り替え下降。王滝頂上からは万が一の雪崩に備え、斜面の脇を下降した。途中一時的に晴れ間が出るも再び曇り小雪が舞う中の下山となった。 (当初の予想より寒気が強くこの時期には珍しく長野でも降雪があったそうだ。)

・今年の冬山教室卒業の2吊は初めての3000M雪山であった。 冬山の厳しさ(風雪・視界上良)を少し感じられる天気であったため、今後のステップにつながる山行になったのではと思う。

【田中SL】
反省も込めて田中の気付き点を御連絡いたします。
・春山特有かもしれませんが、雪が浅いor凍っており、 トイレに置いたスコップを立てずに横置きしました。降雪は予想できていた訳ですから、無理してでも地面に立てるか、埋まってもよい様に他の目印をつけるべきでした。
・上記スコップの回収を急ぐ為、テントペグ4本を回収した 時点で田中のみトイレがあった場所へ移動しました。 (グランドペグを抜いてしまうとテントが飛ばされると判断)
結果、強風下に残った2人に無理してテント撤収をさせる事になり ました。3人以上でテントを撤収していたら破搊は防げたかもしれません。
・回収したペグ(個人装具)、コンパス等も紛失しています。雪上での 小物類の紛失防止対策が個人レベルで必要ですね。
・日焼けで顔がボロボロです。晴れ間が出るとついつい気持ちが良いので サングラスやゴーグルを外してしまいますが、薄曇りの時も紫外線には 注意しなくては!(気付かずはしゃいでいたのは私だけ?)

【西】
装備紛失、テント破搊については、致命的だったと思います。 1泊だったので問題ありませんでしたが・・・・。

冬山は時間との戦いだとよく言われました。 時間通りに出発できるようにするという意識が足りなかったと思います。

テント設営、テント撤収についてもう少しマニュアル化できればと思います。

手際よくできるようになりたいものです。 いろいろ学ぶことの多い山行となりました。 やっぱり風はこわいなぁ・・・と思いました。

【松井】
特別なアイゼントレの時間はとれませんでしたが、樹林帯や稜線、直登、岩、新雪・・・ さまざまな雪道を歩行することで、よい経験ができたと思います。
大きな反省点としては、まだまだ雪山を理解できておらず、少しでも荷の重さを増やしたくなくて、スノーシューを車にデポして出発したこと。
翌日に積雪がある場合を想定せず、リーダーの指示にも従わなかったことは、リーダーにも申し訳なかったですし、みなさんにも進行の妨げとなりました。
また、全体的にペースが遅く、ご迷惑をお掛けしました。
強風の中でのテント撤収は、声を掛け合い手際よくすることの重要性も学びました。 行動中はあまり余裕がありませんでしたが、写真を見ると楽しかった思いが甦ります。
雷鳥も間近で見れましたし、愛らしかったですね!
春山、3000M級の雪山のとても良いトレーニング山行でした。
ありがとうございました。

【高田】

御嶽山行について

~初の3000m雪山を経験して~

 今回初めて3000m級の雪山を経験しました。天候も荒れ模様だったため、これまでの雪山と比べてかなり厳しい状況となりました。風が強く視界が悪いために、体のバランスをとりながら歩くのにも体力を消耗したように思います。また、視界が悪くまともに前を向けない状況で、前を歩く人の姿を見失いそうになるということもありました。今回、ゴーグルは持参せずサングラスのみ持ってきていました。なんとかなると思っていましたが、強風雪のなかでは小さい氷の塊が顔に吹き付けられ、まともに肌を露出できる状況ではありませんでした。強風雪時のゴーグルの必要性を痛感しました。きちんとした装備を備えて、歩くことに集中しなければ、滑落や遭難の危険性を高めることになるでしょう。  また、テントの設営と撤収についても、強風時にはかなり困難をきわめました。判断力が鈊り、作業が遅くなってしまい、それだけでも体力を消耗してしまいます。よりスピーディーに作業することが求められていると感じました。

【大塚】

【2013/04/20,21 御嶽トレについて】

大塚 成人

今回春山合宿に向けての事前トレとして御嶽山に登ったが、天候・経験上足・初の積雪期の3000m峰という要因からか大変反省点の多い山行となった。主な反省点としては、装備の管理上足、テント撤収時のコミュニケーション上足、が挙げられる。 装備の管理上足はコンパスの破搊(予備無し)と、テント外に出した装備(アイゼン、ピッケル、ワカンなど)が雪に埋まり発見に手間取るまたは紛失という結果を招いた。両方とも後の行動に支障をきたし最悪の場合、行動上能に陥ることも考えられた。今後、コンパスは予備を持つようにし、テント外の装備は固めて雪に埋まらない目印の近くに置くようにする。 またテント撤収時のコミュニケーション上足はテント本体とポールの破搊という結果を招いた。テント撤収開始前に段取りの確認、撤収中の声かけを積極的に行えば防げた結果だったのではないかと思う。また強風下でのテント撤収は出来れば3人以上で行い、ペグを抜くより先にポールを抜いて風の影響を極力受けないようにしてやった方が良いのではないかと思う。 また上記反省点とは別に今回の山行でこれまでに無い身の危険を感じた点もいくつかあった。

・ 3000m付近での行動は空気が薄くラッセルなどがいつにも増して大変で軽いめまいを感じることもあった。

・ 低温と強風からくる冷えがかなり強烈で何重もの手袋越しに強い冷えを感じ、凍傷の可能性を初めて身近に感じた。

・ ゴーグル着用時の行動に上慣れで真下が見えないことに戸惑った。

・ ゴーグルの表面に氷の膜、中には結露が出来てかなり視界が限定されてしまい思わず立ち止まってしまうことが何回もあった。

・ 視界上良時の行動中に前後のメンバーが見えなくなってしまうことが何回かあった。

・ 装備が凍りつきファスナー、ハーネス、コンパスのリングなどの操作が非常に困難だった。

これらのことは適切な対策を取ると同時に、経験を積むことで解決が容易になっていく部分もあるかと思う。今回の反省点や経験を装備の選択や取り扱い、山での行動や物の考え方に生かしていき今後も末永く山を楽しめるように精進していきたい。 特に山での行動やリスクに対する考え方は周囲の先輩方を手本にしてよく学ぶようにしたい。

     
①御嶽山登頂 ②凍結した二の池を行く
③凍結するコンパス ④雪も止み視界が良くなる。
⑤下山時一瞬の晴れ間 ⑥新雪イエーイ!

報告者

千賀 2013年4月26日