山行報告書

神戸勤労者山岳会

1.参加者

井谷、山本、西尾、西、大塚

2.山域・ルート

大峰 白川又川 奥剣又谷

3.交通手段
 
4.行動記録
<入山日 2013年06月29日  下山日 2013年06月30日>                                                                                                      
6月29日(土) 10:30行者還トンネル西口出発→弁天ノ森→火吹谷と水晶谷の分水尾根→15:00白川又川大滝付近(テント泊)
6月30日(日) 6:15大滝付近出発→水晶谷出合→口剣又谷出合→口剣又谷→口剣又谷右俣 →18:30大峰奥駈道五胡峰付近(1650m)→20:00八経ヶ岳(1914.5m)→弥山 →弁天ノ森→24:40行者還トンネル西口→帰神
5.山行中の問題点・事故に繋がる要因
 
a. 予定のルート・日程で行動出来たか 予定ルートをはずれた場合あるいは日程が異なった場合はその理由

1日目に沢の取付きまでに時間を費やし取付きでテント泊になり、遡行ができなかった。

沢登りルート100によると約3時間とあるが、実際には4.5時間を要してしまった。

奥剣又谷を遡行する予定であったが、途中で道を間違え口剣又谷右俣を遡行した。

奥剣又谷は右手から25mの滝となっており、これを支流とみなしてしまった。

20時過ぎに八経ヶ岳から下山連絡先に連絡をとり無事の一報を入れたが、登山口への下山は24時40分になり皆さんにご心配をおかけした。

登攀でロープを出すことが多く、人数が5人と多かったことで時間を費やした。また、不慣れから懸垂下降にも時間を費やしてしまった。

2日目は時々雨が降るあいにくの天候で足場が悪く遡行と帰りの登山道でペースが上がらず時間を費やした。

道迷いで口剣又谷に入ってしまったが、突き上げる標高が低い(1914→1650)ため、このことによる遅れではないように思う。パーティーの力量不足が主な原因。

b. 事故に繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す
特になし                 
c. パーティーで、山行中の事故に繋がる要因につき、山行後検討したか?
人数が多い場合、登攀に時間を費やすことを再認識した。予備日を設けるなど余裕をもった計画にするように心がける。                  
6.その他、ルートに関する情報・気がついた事など記す

白川又川は深い谷でした。いたるところにゴルジュがあり、滝を越すにも容易に高まきすることができず滝を直登気味に越えていくことが多数ありました。当初、2日あれば十分との思いがありましたが、人数が多い場合の登攀にこれほど時間を費やすとは思ってもおらず、下山が遅くなってしまいました。今後はもう少し余裕を持った計画にしようと思います。白川又川は景色がすばらしくよく、滝あり泳ぎありで楽しい沢です。道を間違え奥剣又谷には入ることができなかったこともあり、近いうちにリベンジしたいと思います。

報告者

井谷   2013年07月07日


7.参加者感想

山本感想

  1. ・ルートについて:沢は枝沢が多く、読図力・GPSの確認頻度を上げる必要がある。GPSは3人持参していたので、それぞれがしっかりと確認すべきであった。取り着きまでも再三誤っていました。
  2. ・総合技術力:登攀能力及び、懸垂下降含むロープワークの向上を行う必要があります。
  3. ・急流渡渉技術及び、装備不足:ライフジャケットのみでないと突破出来ないゴルジュ帯がある事を初めて知りました。また、ハーケンを抜くためのハンマーも1つしかありませんでした。
  4. ・予備日が無い事は大きいと思います。 19時間行動後の1人での帰神運転は非常に危険でした。
  5. その他、細かい個人的なことは、携帯電源を切り忘れて、下山連絡時には、電池切れを起こしていた事。 同じくGPSも電池切れを起こしていました。
  6. 渡渉後に安易なロープの受け渡しにより、ロープを落としてしまった事も反省です。
  7. 全体的には、我々の技術・装備及び、その人数と対応した山行沢ルートグレードのアンバランスが大きく、それらを補うだけの時間的余裕が無かった事が、要因と私は考えています。

    <良かった点。>

  8. ・時間が掛ったが、結果的には、常に安全側で行った結果でもあります。 また、時間超過を誰のせいにするでもなく、全員無事に下山できた事は、全員がそれだけの精神力と、体力があったからなし得たことだと思います。 誰か1人が歩けない状態になっていれば、ビバークする必要があり、それこそ、遭難扱いになっていたでしょう。
  9. いずれにしても、個人的には大事に至る前に良い経験が出来たと前向きに考えています。


西尾感想
  1. ・ルートを事前に確認していた際、とりつきまでが分かりにくかったため、GPSにルートを取り込まず山行に参加してしまった。
  2. ・GPSは去年の堂倉谷まではザックのサイドポケットに入れて、今よりはマメに位置確認をしていたが、堂倉谷で液晶破損したため、現在はザック雨蓋に入れているので、出し入れにザックを下ろさねばならず、体力に余裕のなかった事もあり位置確認がおろそかになった。(保管場所検討要)
  3. ・懸垂下降1回目は、久しぶりだったこともあり、ビビッて時間がかかってしまった。
  4. ・ヘッドランプの予備電池を持っていなかったので、最後はかなり暗くなっていた。
  5. ・足左親指の爪を岩にぶつけてしまい、はがれかけている。去年も足左右親指の爪がはがれた。(つま先の補強検討要)
  6. ・ブヨにかまれ、薬忘れ。
  7. 私にとっては、過去最長時間行動の山行になり、かなりきつかったが、何とか無事戻れて良かった。(遭難対策委員会にはご心配をおかけして、申し訳なかった。)

西感想
  1. ルート確認の不足。GPSを十分活用できませんでした。 遡行図とあわないと思ったときに、すぐに確認すべきでした。 HPでもまちがった記録がアップされておりそれを読んでいたにも関わらず注意不足でした。
  2. 懸垂下降などロープワークが手際よく出来ませんでした。
  3. 落石が多く非常に怖かったです。
    注意するだけでは防ぎきれない、そういう自然の中にいることを認識させられました。
    また、前進できないからといって後退もできない事があるんだと、非常に身近にかんじました。
    エスケープルートがないという事は、まさにこういう事か・・・・という感じです。
    沢登りは、時間のよみが難しいです。そういう意味で予備日を設けるべきでした。
    ルートについての研究がまだ不十分でした。
  4. 時間がかかっても、安全を優先して行動できた事は良かったと思います。
    登山道は、ただ黙々と注意深く歩くだけでしたが、よく頑張ったと思います。
    安全という観点からはビバークした方がいいというのは、みんなよく分かっていたと思いますが 無事下山できてよかったです。
    いい経験になりました。

大塚感想
  1. ・全体を通して感じたのは、沢登りのルートファインディングの難しさでした。
     アプローチにしろ遡行中にしろGPSが無ければ道に迷い更に下山が遅れていたことは確実でした。
     特に沢の中に入ってからはGPSが無ければ現在地の確認はかなり難しかったと思います。
     グレードの高い沢にはGPSは必需品だと感じました。
  2. ・沢の山行計画を立てること自体も難しいと感じました。アプローチや遡行にかかる時間はその時の天候やルートの荒れ具合、メンバーの人数やレベルで簡単に変動しますので整備された登山道を歩く時と比べてかなり予想がしづらいと思います。
  3. ・今回の奥剣又谷は山深いところだったためエスケープルートがほぼ皆無。不測の事態にエスケープできないこのような沢に行く場合は、事前に入念な準備とそれなりの覚悟が必要だと感じました。
  4. ・落石の多い沢で怖い場面が何回かありました。足元の石が突然崩れだしたり、誰も触れてない30センチ四方の岩が今まさに自分たちが登ってきた滝を転がって行ったときは心底怖かったです
    沢が危ないと言われる理由がわかりました。
  5. ・もし誰か一人でも疲労で行動不能になっていればビバークせざるを得なくなりより深刻な事態になっていたと思います。
  6. 登山において体力をつけることは一番の基礎であり安全のための重要な要素だと再確認しました。