山行報告書

神戸勤労者山岳会

 

1参加者

尾崎、江本、高松、河合、馬河、西、太田、松田、高橋、呉、保木本 計11名

2山域・ルート

 西穂山荘から西穂山頂ピストン・西穂山荘から焼岳ピストン

3交通手段 

 自家用車3台

4行動記録

 入山日17年8月5日夜発  下山日17年8月7日

第1日  

  神戸夜発

 第2日  

  4時30分起床 西穂高口6:30から西穂山荘7:30着テント設営8:00出発

  11:00山頂着、11:30下山、15:00テント場着

 第3日 

  3:00起床、テント場出発5:00、焼岳小屋着7:00、焼岳山頂8:30着

  下山8:50、テント場12:00着、テント撤収13:00出発、15:00駐車場

  入浴後帰神23:00

 

5山行中の問題点・事故に繋がる要因

a予定のルートで行動出来たか 予定ルートをはずれた場合はその理由           

・体調不良者があったため、2日目の焼山登山をピストンとする。

 

b予定の行程どおり行動出来たか 行動予定と異なった場合はその理由

・同上

 

c事故の繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す

・     1日目の西穂山頂からの下山時独標手前辺りで、松田さんが体調不良となった。

歩行が遅くなり、前後にサポートメンバーがいたにもかかわらず(松田さんとの距離を作ってしまい)、体調不良を早期に発見できなかった。

松田さんの体調不良に気づいたときに、荷物を他のメンバーが持つことを話すが、「大丈夫」という本人の言葉のまま、歩行を続けた。

独標に着き、体調不良の原因について、熱中症と高山病の可能性を考えた。(水分は1L、昼食はおにぎり2個を食べていたとの確認をとる。)水分補給を促し、タオルを水で浸し首に当てる、扇ぐ等して様子を観ていた。日陰も風もなく、環境が良くないこと、残りの水分が十分でないこと、本人が頭痛を訴えることを考慮し、早期下山が良いと判断し、体調不良のまま歩行を再開した。

その後、生あくびをしはじめ、足取りが不安定となったため、転倒防止に努め(前後にサポートメンバーが付き、ふらついたときには後方から保持できるようにロープを身体に装着した)、歩行を続けた。風通しの良いところで10分程度休憩したが、症状は悪化傾向で、頭痛も続いていた。判断に困ったが、その場では対処に限界があること、原因がわからないため下山を急ぎたかったことで、再度歩行を再開しようとするが、困難であったため、背負っての下山を試みる。

人手は十分であったため、同時に水分と搬送に使えるものを求め、2名のメンバーが小屋に急ぐ。

その後、ガレ場であり足場が不安定なため背負っての搬送は不可能で、少し進んだところで松田さんを寝かせて休ませ、小屋からのメンバーを待つ。その間、松田さんは水分を飲んだ後、嘔吐し、寒いと訴えたため、ツェルトをかけ休ませる。

松田さんが寝ている場所で、サポートメンバー4名待機、他のメンバーは小屋まで下山し、経過報告を待つこととする。

メンバー2名は小屋で状況を説明し(診療所滞在の看護師が対応)、助言を得る。担架はないため、本人の意識があり、歩行できるのであれば自力で下山、歩行が不可能であれば人手での搬送でなんとか小屋まで降ろし診療所で寝かせて様子を見て、当日の下山・受診の必要性を判断しようということになる。水分と冷ピタシートを持って引き返す。

松田さんの顔色は悪かったが、脈拍は84回/分しっかり触れており、「さっきよりは楽になった」との発言あり、生あくびをしていたときに比べると、表情もしっかりしてきていた。発汗はあったものの1Lでは水分が少ないと思い、飲水(スポーツドリンク)を促し、ブドウ糖も食べてもらう。

この頃、小雨が降り始め、雷が鳴り始める。

会話時の口調も改善をみとめ、「さっきよりしっかりしてきた」との発言もあったため、天候悪化傾向であるため、再度下山開始。

足取りは改善し、自力歩行で下山。(サイドと前後にメンバーがつく)

診療所で看護師が待機してくれており、ベッドで横になる。

T:35.9℃ P:88回/分 BP:190/90mmHg

(発汗のためか体温低めであり、寒気を訴えていたため体温上昇が考えられたが、その後も発熱なく経過。脈拍も大きな変化なく経過。血圧は普段も150台と高めであるとのことで、1時間後には150〜160台に下がっていた。)

松田さんはすぐに眠りにつく。

3時間後、みんなのところに顔を出すが、食欲なく何も食べずに眠ることにする。

診療所のベッドを借りて入眠する。

翌日は、診療所の看護師より診療所で休んでも良いとの了承を得ていたので、松田さんは診療所で休み、他のメンバーは焼山登山をピストンで行うことにする。

午後1時焼山下山時には、松田さんは食欲も出て食事を済ませており、体調も改善していた。

全員でロープウェイまで下山。

 

 

dパーティーで山行中の事故に繋がる要因について山行後検討したか 

メンバー全員で話し合いは出来ていないが、意見として以下のことがあった。

・     松田さんとの距離を作ってしまったことは、サポートメンバーのサポートとしての認識が足りなかった。

・     もっとしっかり声をかけるようにして、体調不良を訴えやすい環境を作るべきであった。

・     前日の睡眠不足・体調管理について当日の体力に及ぼす影響の有無程度に注意を払う必要がある。

・     体調不良は自己管理の問題である。

・     初心者は体調の変化について経験がなく、知識も少ないため、無理をしてしまうということを参加者自身もサポートメンバーももっと自覚しておく必要がある。

・     体調不良となったものを本人に無理をさせて、移動させたことは危険な行為であった。

 

eその他

 反省および学び

・     今回のように夏山で体調不良になった場合、熱中症と高山病との見極めが困難であり、応急処置もマニュアル通りには行えない。

  その時々の状況を考え、判断し、行動したつもりであったが、体調不良を早期に発見し、

  休息をとり体調の改善を図るという最も基本的なことができていなかったと思う。

  また、自己管理はもちろん必須であるが、パーティー内でのメンバーの体調の変化に

  注意を払い、声を掛け合うことも重要である

  また、夏山では応急処置が出来るように、水分は飲水用だけでなく、冷却用としての確

  保も考慮する必要がある。うちわや扇子など、風を送れるものを携帯する必要がある。

  冷ピタシートは冷却としてはどのくらい効果があるかわからないが、爽快感は得られるようなので携帯しておくと良い。

 今回は最悪の事態は免れ、松田さんの体調も改善出来たのでよかったが、夏山登山での体調不良の引き起こす問題に直面し、反省を基に、いろいろ気づきと学びがあった。

 報告者氏名 尾崎昇 

       17年8月22日

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