山行報告書

神戸勤労者山岳会

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1参加者

 北口 杉田 井谷 大川 大石 名児耶 庄司 西 高松 小池 小川 千賀 馬河 島田 宮永 小椋 増田 坊垣 寺村 松本 高岡

 

2山域・ルート

 木曽 御嶽山 飯盛−山頂

3交通手段  電車  車  バス

  車 

4行動記録 

 2/10 3:27  御岳ロープウェイ駐車場着 テント設営

   7:00  起床

   8:53  ロープウェイ乗車

   9:13  (2160m)出発わかん装着

   11:17  (2445m)樹林帯を抜けてアイゼンへ変更 

   12:51  (2640m)強風の稜線へ 高度を上げるごとに風が強まる

   13:50  (2800m)八合目小屋女人堂

   14:26  (2880m)九合目石室山荘 ここでパーティが2つに分かれる

   15:32  (2908m)ニの池を見下ろす最高到達点 先行パーティーはすでに二の池でテント設営

   16時頃 二の池から賽の河原小屋横にテント移動  

  17:09  ジャンボテント設営終了

    18:57  夕食後就寝

 2/11 6:00  起床

   7:30  朝食終了

   9:00  横殴りの風強く、視界きかないwhite out 待機

   10:57  下山開始(夏道ルート沿い) 斜面によってロープ出してトラバースしつつ下降

   12:41  (26408m)後発(増田)隊と出会う

   13:20  (2460m)テント設営(金剛堂)

   14:38  (2460m)雪上トレーニング スタンディングアックスビレイ、ピッケル・デッドマンでの確保講習

   16:22  雪上トレーニング終了

 2/12 5:00  起床

   6:44  テント撤収・下山開始

   8:35  

   9:33  (2210m)ロープウェイ飯森高原駅着

   9:56  ロープウェイ乗車

   10:15  ロープウェイ鹿の瀬駅着

       木曽温泉入湯

   17:45  労山事務所着

 

 5山行中の問題点・事故に繋がる要因

 事故

 2度の凍傷1名 軽度の凍傷4名 軽度の低体温症2名 足首捻挫1名

 

 事故に至る経過

2400m付近で1名がヘルメットを斜面で落としその回収に手間取る。それに同行した他の2名のメンバーと共に遅れる(ヘルメットは回収できず)。リーダーがそれらメンバーを待ち受ける間に他のメンバーはラッセルもかね先行する。しかし2880m石室付近までは視認の範囲であった。

9合目石室付近で先行パーティーは強風で後続メンバーを待ちきれず、予定ルートと異なるルートを取る (先行パーティーはその取ったルートの方が容易と判断した)。そのため視認の範囲からはずれる。強風で声も届かない状態であった。リーダーが2880mの位置に到達した時は先行パーティーの居場所把握できず。リーダー判断で当初予定のコースを取る。これまでの強風下の行動でかなり体力を消耗しているメンバーが見受けられた。雪の付き方が悪く雪崩の恐れもあるのでロープを出しルート工作をする。この間チェルトを出し体力を消耗しているメンバーを収容する。 

先行メンバーは二の池にすでに到着。その場でテント設営。1名が連絡要員として石室上部に来る。その結果全メンバーの状態を把握することができた。

二の池にすでに1張りのテントは設営されていた。しかし強風を避けられる場所では無いためリーダーが賽の河原の小屋付近の偵察に行く。リーダー指示を待たず風の通り道にテントを設営しだす。強風下零下20度C以下の気象条件で、更に体力消耗後の(8合目からの強風下での行動による)テント場移動。すでに2名が軽い低体温症状を呈する。しかもジャンボテントのポールが破損する。とりあえず4-5人用テント2張り設営し低体温症気味のメンバーを収容。残りのメンバーでジャンボテントのポールの修理をする。

テント設営中二の池に残してきたザックを収容にメンバー3名向かう。そのうち1名が雪面で足をすくわれ足関節捻挫。

ポール修理に時間がかかり1名が2度の凍傷に罹患(手袋を外すまで凍傷に気づかず悪化させる)。

 

 事故の直接原因

凍傷 金属(ポール)を長時間持ち続けた。 適切な用具(手袋)では無かった。体力を消耗している中でエネルギー源の補給を怠った。 凍傷に対する意識が薄かった。

低体温症 3000mの厳冬期の経験が無いため、1名は中間着を着用せず1名はオーバーヤッケを着用せず、ウインドヤッケで済ませていた。保温性に対する認識不足。体力を消耗している中でエネルギー源の補給を怠った。

捻挫 体力消耗後の注意力低下

 

 事故の間接原因

厳冬期3000mの頂上での雪上トレーニング計画に見合うメンバー構成であったか。

初級・中級に分け初級は下部でトレーニングを行うべきであった。(メンバーの人数に見合うパーティー分けをすべきであった)

リーダーの指示が充分いきわたるようにサブリーダーを2-3名配置すべきであった。

予定していたジャンボテントが見つからず急遽古いジャンボテントを持参せざるを得ずポールの破損に繋がった。

  事故に繋がる要因

9号目石室付近で先行パーティーが後続を待たずに先行した:結果的に二の池で合流できたが、先行パーティーに問題が発生した場合などリーダーは後続パーティーの安全確保と先発パーティーの(捜索)安全確保と2重の任務を負うことになる。同時に先行メンバーは自分たちの安全確保と後続パーティーとの連絡という2重のアルバイトを背負い込むことになる。その肉体的・精神的負担の増加が遭難を誘発する要因となる。

 今後の対策

リーダー・サブリーダーの配置をメンバー数に見合うよう設定する。

いかなる状況下でもパーティーの分断は回避する

初級の雪上トレと中級の雪上トレを分けて行うことが望ましい。

共同装備の事前確認を怠らない。

適切な用具とその適切な使用。特に3000m未経験者を伴い3000m級の厳冬期登山をする場合は事前に低体温・凍傷対策を説明しておく(強風がいかに体温を奪うか、また顔面などの露出部を氷化させるかなど)。

行動中は適切にエネルギー補給を行うことを徹底する。

金属を扱っている時は常に凍傷の危険にさらされていると言う認識を持つ。

3000m級の冬山に見合う体力をつけておく。

その他ルートに関する情報・気がついた事など

報告者氏名  北口    06年 3月 9日

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