山行報告書

所感文はこちら

神戸勤労者山岳会

1参加者 名児耶、島田、手崎、野田(1班)丸尾、小池、西、井川(2班)尾崎、胡桃田、吹留、生田(3班)高松、江本、玉田、平田(4班)

2山域・ルート 大峰 前鬼川本流

3交通手段  

4行動記録

入山日2007年8月19日  下山日2007年8月19日

8月18日(土)晴れ

神戸事務所08:00→(車)→23:30普賢の宿 宿泊(行動0時間)

8月19日(日)晴れ

普賢の宿6:00→07:00前鬼林道終点7:30→11:00水垢離場付近12:00→13:00三重の滝上部13:30→15:00前鬼林道終点→帰神(行動7時間30分)

5山行中の問題点・事故に繋がる要因

予定のルートで行動出来たか 予定ルートをはずれた場合はその理由

当初、前鬼宿坊に向かい一般登山道で帰る予定であったが、道が一部崩壊していること、前鬼川左岸のそま道を拾えば下山の短縮になるとの情報も得たためそのまま沢沿いを下った。

事故の繋がりそうな要因(ヒヤリハット)が発生したか 発生した場合は具体的に記す

先ずは、2段10mの滝の釜の近くで、名児耶を含む、何人かが釜から流れる本流に飛び込み泳ぎを楽しんだ。 しばらく泳ぎや景色を楽しんだ後、移動し始めた。 野田さんは、釜の下流側を右岸から左岸に泳いで渡った。 左岸に近づいた時点で巻き込み流につかまり少しづつ釜のさらし場に引き込まれていった。 さらし場の泡の立つあたりで野田さんが溺れ始めたので、名児耶と尾崎さんがシュリンゲを投げて救助しようとした。 しかし、名児耶は身を沢に入れ過ぎて、野田さんと入れ替わりにさらし場に引き込まれてしまった。 野田さんは、左岸から尾崎さんが引き上げた。 その後、名児耶は、さらし場から右岸側に近づき手と足で細かいホールドを拾いながら巻き込み流から逃れた。 釜から水流が左に曲がっていたため右岸側の巻き込みは左岸側に比べて弱かったようだ。 本流に入り、左岸の尾崎さんの手につかまり岸に上がった。 

パーティーで山行中の事故に繋がる要因について山行後検討したか 

大きな滝が形成する釜の恐ろしさの認識が足りなかった。 大きな滝の釜の近くでは、泳ぐべきではない。 万一泳がなくてはいけない場合は、水の流れを良く観察し、巻き込み流を避け、かつロープ等で確保する。 今回の釜を下山中に上から観察したところ巻き込み流がとてもわかりやすく流れていた。 また、さらし場は、泡が立ち、息が出来ないと本に書いてあったが、全くその通りだった。 顔をだしては入るが息が出来ずにあせった。 また、泡が立つあたりは、水の比重が軽くなり人間は、沈みやすいらしい。 さらし場に巻き込まれたら、一度、潜って本流の流れにのり脱出したら良いらしいが、リュックを背負って下に潜りこむのは、難しいように思える。 

6感想

今回は、沢の美しさと怖さを同時に知る山行となった。 前鬼川本流は、以前より美しい初級の沢と聞いていたため、沢登り教室の振り替え山行に最適と思い、当初予定されていた比良白滝谷から変更させてもらった。 沢登りの経験豊富な丸尾さんと尾崎さんもサポートに加わって下さり、山行前日の土曜日夜に会事務所を4台の車に分乗して出発した。 山行前日普賢の宿に宿泊させていただいた。  小屋のオーナーは、丸尾さんの友人で、数多くの山の本の著者である吉岡さんだ。 吉岡さんと仲間の方が迎えて下さり、酒を飲みながら大峰の魅力や小屋の魅力を教えていただいた。 手作りされた小屋は、渓流の音が心地良く快適だった。 何人かのメンバーは、焚き火で温められた釜の露天風呂を楽しんだ。

普賢の宿を朝6時に出発し、登山口に朝7時頃に到着した。 沢の装備をつけ、黒橋吊橋の下から入渓した。 支沢を下るとまもなく前鬼側本流に合流した。 噂通りの美しい沢だった。 岩が白く、水が青く輝いている。 日が昇ると水の色がもっと美しく見えるだろうと期待しながらさらに進んでいった。 まもなく10m2段の滝についた。 野田さんと名児耶が釜で溺れたアクシデントの後、滝を右岸より高巻くと、滝上部のなめ床が現れた。 昼寝に最適と言われる場所を見つけ、すぐにまた休憩する。 なめ上流の岩の上で寝転がり体を温めていると先程のショックが和らぎ体の震えが取れていった。 さらに行くと箱状の廊下が現れた。 左岸から湧き出てきた滝が白布のようになって廊下に流れ落ちていた。 岩と沢と木々の色と音とがとても美しい。 その後、水垢離場上部の釜で水泳、飛び込み大会があり(この釜の滝は、小さいため巻き込みの心配は無かった。)、裏行場、三重の滝を見学して下山開始した。 当初、前鬼宿坊に向かい一般登山道で帰る予定であったが、道が一部崩壊していること、前鬼川左岸のそま道を拾えば下山の短縮になるとの情報も得ていたためそのまま沢沿いに下ることになった。 一部懸垂下降が必要な箇所もあったが、全員無事駐車場まで戻ることが出来た。 北上山の温泉で汗を流した後、それぞれの車で帰途についた。 今回の釜のアクシデントは、一歩間違えれば、重大な事故になりかねなかったが、無事に帰ることが出来ため良い経験となった。 常に謙虚な気持ちを持ち、小さな失敗から多くを学び、美しい山々をまた仲間と一緒に楽しみたいと思う。

報告者氏名 名児耶