2008年2月氷ノ山冬山合宿報告及び総括
週末の荒れ模様はもう疑いようも無かった。 水曜日の最終ミーテイングで悪天候時は、三ノ丸往復のみとすることをみんなで確認して金曜日に最終連絡を入れることにしていた。 新メンバーがたくさんいるパーテイーで山に入ること自体ためらわれたが、HBCサイトより取り出した週間予報支援図は、強い冬型が日曜日の午後からは崩れ、回復に向かうことを示していた。 計画通りにはならないだろうけれど、みんなで悪天候を経験することも貴重なトレーニングと考え予定通り山に入ることにした。
パーティー毎にそれぞれ土曜日の早朝より入山開始した。 パーテイー構成は以下の通り。
1班:生田(L)、名児耶(SL)、千賀、伊藤、高松、松田、亀岡
2班:玉田(L)、大川(SL)、野田、黒田
3班:参加者が少なくなったため解散
4班:西(L)、尾崎(SL)、坊垣、平田
5班:北山(L)、三谷(SL)、吹留、野村
6班:松本(L)、島田
初日、既に天候は荒れ始め、最後の5班が乗る直前、最上リフトは強風により運転中止になってしまった。 暫く待っていたが、再開の目処が立ちそうも無いため、取り合えず強風から逃れるため尾根に入り上部樹林帯まで進むことにした。 樹林帯の更なる上部ではホワイトアウトも予想されたため、先行している6班スキー組に樹林が切れる手前の平坦地で待ってもらうように無線連絡を入れた。1時間程度で先行組のビバーク地点に辿りついた。 同じ頃に入山したMSCドングリパーティーもここでスキーを履いていた。 今日は、わさび谷を滑り若桜スキー場に戻るとのことだった。 暫くツエルトの中で5班の到着を待ったがなかなか追いつく気配も無いのでここでベースキャンプを設営することにした。 雪洞を掘るか、テントを張るよう各班に連絡した。 或る程度準備出来たところで希望者だけ三の丸を班単位で往復することにした。 樹林帯を出て広い斜面に出るとホワイトアウトになっていた。 6班、1班のみ三の丸を往復し、他パーティーは途中で引き返していた。 コンパスと旗竿を使ってのナビゲーションの良い練習になった。 ベースキャンプに戻るとちょうど5班が到着していた。 結局、リフトが動かなかったため自力で斜面を登って来たとのことだった。 各班毎にテントあるいは雪洞にもぐりこんだ。 雪洞内は、音と風が遮断されて快適だった。 ただ、作成中にウェアが濡れてしまい、乾くまで寒い思いをした。 グローブも雪だらけになりカチコチに固まってしまった。 晩、ますます強くなった吹雪の中、テント組は雪かきをせねばならず、雪洞組は夜中のトイレに出るためには内から外に向かって雪のトンネルを掘らねばならなかった。 一晩の積雪は30から40cmはあったと思う。 翌朝、朝ごはんを食べると早々に下山することにした。 最上部リフトはまだ動いていなかった。 最上部斜面は約30度の傾斜であり昨晩の積雪量を考えると雪崩の危険が高いと判断した。 斜面横の樹林沿いを順次下ることにした。 途中、スキーのひっかかりを嫌がりスキー班が斜面に進路を変えてしまった。 大声で危険であることを伝えようとしたが止まれの合図と聞き間違えてしまったようだ。 幸い何も起こらず全員無事下山することが出来た。
今回、合宿運営としては以下が学習点だと思う。 ひとつは連絡体制をもっと明確すること。 トレーニングのため冬山経験の少ない人にリーダーになってもらい、経験者がサブリーダーとしてサポートすることになっていた。 悪天候などの非常時にはやはり経験者を中心にした連絡体制や方針決定の方法を事前に決めておくべきだった。 また、より実りある合宿となるように悪天候時のメニューも事前に明確にしておくと良いと思う。例えば、雪洞掘りやホワイトアウト下でのナビゲーション練習など。
そして雪崩に合わないための知識、技術および雪崩で遭難してしまった場合のレスキュー技術をもっと向上させなければならないと思った。 最後に、島田さんが呼ぶ子にレポートして下さった謙虚さを見習いたいと思った。 他の人が同じ失敗を繰り返さないように、また自分も繰り返さないように自然に対して常に謙虚な気持ちを持ち続けたいと思った。
最後になりましたが、皆さんありがとうございました。